1620話
そんな次の日になり、ダンジョン配信が行われるのだった。
次の52階層に進むのが今日の配信での目標だ。
「婆娑羅ー、毛皮の有益な使い方見つけた?」
「装備だろ?作ったのか?」
「いや、他の方法。知りたい?」
「知りたくない」
「知りたいなら、知りたいと言ってもらわないと〜。仕方ないから教えてあげる」
「だrrrrrrる!」
マジックバッグから、先日作り出した「血の金属」を婆娑羅に投げ渡す。
「なんだこれ?」
「武器に作り替えれば、血液生成のスキルが手に入るかもしれない金属」
「へー、相性は良さそうだな。・・・血塗れのスキルは移せなかったか」
「まあ、無理だったね。だからその方法を模索中」
「あー、うちが持っているやつを寄越せってことか?」
「違う違う、マリアのダンジョン配信を二人っきりで行ってもらえない?ってこと」
ダンジョンのドロップ総取りとか、絶対に揉める原因になるだろう。するならば、対価を用意してから行うわ。
「それならいいぞ。そろそろ慣れてきただろうから、1人ずつ交互で行おうかと聞こうと思ってたところだし、ちょうどいいわ」
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50階層のボス部屋に移動をし、配信の準備を始めるのだった。といってもボスを討伐するだけですぐに終わる。カメラからコメントが映し出される。
「ってなわけで、55階層攻略配信day2が始まりました〜。どうですか、婆娑羅さん今のお気持ちは」
「順調にいけば、day5が最終回になりそうだな」
「婆娑羅さんはさっさと終わらせたいところのようです」
いつものように冷たくあしらってくれればよかったのに、今日は調子がいいのだろう。
「そういえば、昨日は何してたの?」
「適当に料理とか?そういうお前は?」
「錬金術」
「ポーション作りか。あー、あれ作ったの錬金術だったのか」
「失敗に失敗を重ねてやっと成功させたのがあれよ」
本当になん個の金属が犠牲になったことやら・・・。配信の告知も時間設定付きで行っていることから、もう出ているだろう。今は人が集まるための雑談タイムだ。まあ、そろそろダンジョンの攻略に入ってもいいだろう。
「コメントから見たんだけど、錬金術ってゴミが出んの?」
「失敗したらね。成功すれば、ゴミは出ないよ」
「絶対に出るやつだろ・・・」
「生産職に興味ある感じ?」
「裁縫系がいないのなら、なろうかなーって思ってたけど。今はめんどくさそうだからいいやって感じだな」
婆娑羅は [錬金術のゴミをどう処分していますか?] という質問コメントを見て、そう思ったのだった。ちなみに本来の質問の意図は完全にスルーしているのだった。
錬金術のゴミが、燃えるゴミなのかプラスチックのゴミなのかの問題があるのだった。そのどちらでもないものはどうすればいいのか?というものだ。
まあ、スライムに食わせればいいけど。基本的に持っていないだろうからなー。ダンジョン内に捨てればいいのでは?というのが俺の考えだな。
「そろそろ、ダンジョン探索に行くか〜」
「だな」
雑談タイムも終わり、ダンジョン攻略が再開されるのだった。51階層の墓守をすぐに殺し、52階層へと突入する。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




