1616話
その後周回をすることで、ドロップを確保していくのだった。ステージのボスとして存在しているため、一体殺すとすぐに次の階層に行くことができる。そのため、周回効率やステージを通り抜ける効率が非常に高いのだった。
52階層の様子を見ることなく、その日の配信は終わる。
「この毛皮どうする?」
「装備にするのが一番。けど・・・」
「装備としての品質は悪いだろうな〜」
「作る人が居ねー」
あ、そっちですか。
どちらかというと品質がゴミがから、作ったとしても見た目や防御力といったところは期待ができないのだ。あと、血濡れ装備なことから、血を浴びることが条件となる。その分手入れや耐久値の減少も激しいはずだ。
(確かに、手入れの面を考えると作る人の方が大切か)
パイトスは鍛治専門であるため、裁縫といった防具や服を作るのはできない。これを装備にできそうな人は短かにいないのだった。もちろん、俺は錬金術の素材にするつもりだ。目標はこの「血塗れ」のスキルを持っている武器を作ることだ。
そのため、錬金術でのスキルを金属に付与できるのかの検証を行うつもりだ。できないのであれば、それを知れただけプラスだ。
正直、衣服に返り血がつくことを考えると、武器にその効果がついている方が都合がいいと判断した。武器についている方が体に突き刺し、武器が血で濡れることで効果が発揮される。返り血を浴びるよりも高確率で起きやすい現象だ。
中距離や遠距離で戦っているのなら、返り血なんてつかない。そのため、スキルを持っていたとしても効果が出ないはずだ。確実性が必要だと判断したのだった。
「もし装備できるとして、どこに装備するの?」
婆娑羅が装備する場所が知りたい。返り血を浴びるには、腕や体といった上半身の装備にするはずだ。
「装備はしないぞ?」
なんで作る人を探してんだよ・・・。
そんなわけで解散となり、次の日になる。
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錬金術の部屋にやってきたのだった。この毛皮についているスキルは服として作った場合、「血塗れ」のスキルが付与されるのは確率のようだ。小さく切った毛皮にもスキルが付与されるのだろうか?それが気になった。
布1枚を使うのよりも確率は低くなるが、スキルが付与されるという効果が残っているようだ。
(・・・装備にスキル付与するスキルがあったよな)
エンチャンターの職業を経験したときに手に入ったスキルの1つだ。スキル付与の能力だ。付与できるスキルは見ることが条件で時間制限があるのだが、そのスキルを魔力消費で装備しているものに付与できるものだ。
「血塗れ」のスキルを見たのだから、このスキルを付与できるのでは?と考えた。探してみたが、そのスキルを見つけることができなかった。
耐久値増加といった能力は付与できるが、やはりスキルとなれば付与はできないのか・・・。エラーが発生すれば、永遠にその人のスキルになるからか?
一瞬思いついたものの検証をし、本来の検証だった金属にスキルを付与できるのかの検証が始まるのだった。毛皮を切りわけ、金属と共に錬金術で使う鍋の中に入れる。
まず、1回目は失敗だった。筋力+5の効果が付与された金属が出来上がる。普通に強いけど、求めてはいない。だが、赤みがかった金属は見ててかっこいいとも思ってしまった。
(・・・これに連続で錬金術をかけるとどうなるんだ?)
これ以上脱線するのは良くないだろうと判断し、この思考を頭の中から取り除き、再び実験を開始する。この実験だけで使うことができるのは、半分の毛皮だけを使うことにするのだった。周回をすれば、簡単に手に入るものだ。
無理だったとしても、何度か繰り返せば成功するだろうと考えているのだった。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。