1615話
2周目を始める。
「次の毛皮なんだと思う?」
「たぬき?」
「じゃあ、俺は狼で」
この階層に入った時に、再びスケルトンが墓から体を起こすのだった。敵の位置を明確化するための仕組みだろう。それか、迷わないようにという配慮か。現れてすぐのスケルトンを魔法で撃ち抜いてみたが、少し離れたところから再びスケルトンが湧いてくるのだった。
(無限ワキだな)
3体目のスケルトンを殺すことでこのことがわかるのだった。大人しく、スケルトンの背後をついていく。道は前回と変わっていない。スケルトンの数も大体同じだ。そして、横から囲うようにしてスケルトンが現れる。
即座に土操作で足を固めることで動きを封じるのだった。パラパラパラとサブマシンガンの音を奏でながら墓守が現れる。そのかぶっている毛皮は、キツネだ。キツネは犬科だから、
「俺の勝ちでいいよね?」
「何がだよ」
連射してくるマシンガンをシールドで受け止めつつ、婆娑羅にそう告げるのだった。土操作をその墓守の裏に作り出すことで退路を無くす。本当なら足元にスケルトンが埋まっているところに行きたいのだろう。
だが、そこにいくことはできないのだった。婆娑羅が近寄り出すので、シールドを婆娑羅の前に出すことでマシンガンを弾丸を防ぐ。
(リロードタイプか、魔力タイプか・・・)
シールドを消すタイミングを考えていたのだった。狐の反対の手には鎖鎌を持っているのだった。武器はランダムなのだろう。
リロードを挟まないことから、魔力で動くタイプだろう。止まないマシンガンにより攻撃は継続され、婆娑羅が攻めるタイミングがないのだった。婆娑羅足は止まり攻めあぐねている状況だ。
俺は婆娑羅の背後へと動き出す。そして、スナイパーライフルを手に取り、婆娑羅の背中を狙うのだった。
「婆娑羅!」
その言葉と同時に、婆娑羅がジャンプをする。そして、シールドを前に出すことにより、サブマシンガンの弾丸を直接受けることで、婆娑羅が防ぐことができない状況になるのだった。
スナイパーライフルから実弾を放つ、それと同時にシールドを一瞬だけ解除するのだった。狙いはサブマシンガンを持っているその腕だ。
スナイパーライフルの弾丸が当たり、腕を吹き飛ばす。それにより、墓守の視点は俺の方に向くのだった。婆娑羅を視界から完全に外したのだ。
そして、空中に飛び上がった婆娑羅が、槍を脳天から突き刺すのだった。憑依による変身前に墓守を殺すことができたのだった。
そしてドロップは「降霊術」のスキルブックだった。墓守の戦い方は簡単だ。降霊術で霊を下ろし、スケルトンに憑依させる。決まっていないのため、適当な霊が下されるのだった。
ピックアップされているものとするのなら、それにまつわるものが必要になる。そのため、瞬時に自分を触媒とするために、獣の皮を被っていたのだった。
だが、これだけではスケルトンが破壊されたと同時に、ゾンビになっていた理由の説明がつかない。おそらく、これ以外のスキルが左右しているのだろう。
「降霊術のスキルいるか?」
「できれば欲しいな〜」
「どんなふうに使う?」
「召喚したスケルトンに有名な武将とかの魂を下ろす?」
英雄の魂を下ろすことで、最強のスケルトンができるだろうと考えたのだった。といっても、ステータスが必要になることから、ある程度の強さを持ったスケルトンに付与する必要がある。
「召喚師と相性は良さそうだな・・・。仕方ない。欲しいスキルブックが手に入った時に交換するってのはどうだ?」
「いいけど。欲しいスキルなんてあるの?」
「精霊系が欲しいくらいか?」
「機会があった時に譲るって形ね。了解。臍で茶を沸かすスキルブックは?」
「いらんわ。そんなゴミスキル」
と2周目の周回が終わるのだった。降霊術で生前の魂を下ろすとなれば、スキルも降ろされているはず。となれば、なんで魔法を使ってこないのだろうか?
魂だけで、スキルを下ろすまでは行っていないのか?だから、生前の姿に戻すことでスキルを発動する感じだろう。今思いつくのはこの辺りだな。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。