1597話
勝利は確実なものになった。
「消化試合するの?」
婆娑羅が勝ったとしても、この勝敗が覆ることはない。バラエティ番組のように最後が1億点とかそんなことはない。それならあらかじめ伝えられているはずだ。
婆娑羅は本気での戦闘は互いにしていない。問題は本気で戦うつもりはあるのかだ。本気で戦いたいのなら、消化試合でも戦いたいはずだ。婆娑羅の回答は・・・
「いや、負けが決まっているからいい」
なんだ。目的は既に達成されているのだから、本気で戦ったとしても能力を見せるだけで無駄となる。
「どうすればお前に勝てた?」
「最初からルールで婆娑羅が負けるのは確実だしね〜」
魔力量に差があり、いつもカツカツな婆娑羅が苦しむのは連戦や魔力消費を多い戦闘だ。そのため、絶対に方ないといけない場面でなければ、あまり魔力を使いたくはない。その結果、最初の2戦あたりは魔力消費が減るから確実に勝つことができる。
「それは理解しているから、戦闘でどうすればいい?」
バレてたのか。俺に勝つ方法かー。自分で考えろと言いたいところだが・・・。
「初見での攻略をさせることかなー。最後のは危なかったよ」
「普通に防いでただろ」
「まあね〜。攻撃範囲が多かったのがよくなかったね」
もし、空中に浮いている槍が1本の時や、左右からの槍の攻撃がないのであればシールドを出して防いでいただろう。行動や魔力消費を最低限にするのはその方が効率がいいから、その手段を選択していたはずだ。そうすれば、背後からの魔物が攻撃をすることで勝負はつくな。
「攻撃範囲が大きいから、守る手段が全体防御になるってことか?」
「そんな感じ」
「回避方法の数は?」
「んー。・・・分身体を使っての強制離脱が10回以上、結界術での全身防御、シールドでの魔法防御、土操作での全身を覆う方法」
最高な状態だとこのようの回避、防御手段がある。
「クソボスかよ」
こんなガッチガチに固める系のボスがいれば、クソボス判定されても仕方がないだろう。ここに魔法や銃が飛んでくると考えると、クリアさせないために生まれてきたボスだとも言える。
「新しい能力を手に入れるのなら、俺の見えないところでするのがいいと思うよ?」
影の魔物もスキルブックを手に入れていたのを見ている。というか自慢されたのを記憶している。だから、あの背後で光らせたことから思い出すことができたのだった。(ダンジョン内でのお茶のところ)
俺を倒すのならオリジナリティーのある攻撃が必要になってくるな。3回目の戦闘で行っていた槍の先端を爆破させる攻撃方法は意表を突かれた。想像を超える戦い方をしてくるのであれば、勝つことができるだろう。
「あと、槍の強化をするとか?」
「これか?」
「槍のスキルを同時発動で威力を高めるって感じでしょ?」
「バレてたか」
魔法の能力を極端に上げるにはそうするしか方法はないだろう。
「他の属性で同じことはできないの?」
「できるけど威力が弱い」
合わせることで単純に強くなるのは、火だろう。その次は風か。
「複数の属性の槍が入っていると?」
「意識すれば属性を制限できる。意識しなければ、全ての属性が出る」
属性相性が悪く、打ち消しあった時は悲惨だな。必要なのは意識せずとも属性をコロコロ変換する能力だろう。それか属性を組み合わせることで威力を上げることができる組み合わせを見つけるとかだ。魔法が強くなる比率を見つけるのが理想だな。
「槍を入れる上限とかありそうだね〜」
「上限は10だな」
「今入れてるのは?」
「全て火」
「・・・とりあえずは魔法を強くすることを選べばいいと思うよ」
まあ、この辺りのことは想像できているのだから、婆娑羅が学んだことでも俺に勝つための方法ではないだろう。
自分がダメージを受けないことを条件とするのなら、水魔法を槍に集め、量を増やしてからフィールドを濡らす。そして、雷の槍を落とすことでの感電だ。これが理想だ。てか、戦闘に雷を使ってくるのが減っているな。
近接戦闘であれば、被害を受けるのだから当然のことか。強くする方法と言われてもこれくらいのことしか思いつかない。本気で戦えば、もっと大きな課題も出てくるんだけどな〜。
「明日、いや明後日。お前に戦闘を申し込む!本気でいくから、お前も本気でかかってこい」
特に問題はなかったか。
「はいはい、明後日ね」
本気で戦う人が決まったが、予定は特に何も入っていないな。そんなわけで配信が終わり解散となった。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




