1583話
手数がバレ始めることだ。ヴァンパイアの攻撃手段はドーピングによる能力向上と血を操作するくらいだ。この二種類の攻撃方法がバレているのなら、まだいい。このほかにも攻撃手段があれば厄介だ。
対するマリアの攻撃手段のうち、光魔法、メイス、幻影がバレている。背中に目があるわけでもないため、召喚する魔物はバレていないはずだ。バレていない攻撃手段は、閃光としての光魔法と、召喚獣と幻影を混ぜた攻撃の二種類だけだ。
応用として新しい技を生み出すか、組み合わせるかをしないと勝ち目はないだろう。ヴァンパイアの方は槍を再び両手に持ち、片手剣と盾に切り替えるのだった。マリアが持っているのは片手剣なことから圧倒的な有利はヴァンパイアになる。
さらにヴァンパイアの傷はほぼ完治と言っていい。だが、マリアの方は足に傷を負ったことから、動きがキツくなるだろう。マリアの体の後ろに魔法を1つ設置をし、再戦が始まろうとしている。
「手助けはいると思うか?」
「すぐに行ける準備だけする?」
マリアの足が動くかの確認をしようと立ち上がった時だった。ヴァンパイアが攻撃を仕掛けるために走りよる。確認ができないことで、最大の力を出して動くことができない。そのため、最速で詰めることを選択したのだった。
盾を体に近づけることでメイスの攻撃を必ず防ぐようにしている。パリィなんてするつもりはないようだ。攻撃を受けても怯まないようにすることを選択しているのだった。マリアは盾に向かって攻撃をするのだった。
だが、その狙いは攻撃をすることではない。ヴァンパイアの方は攻撃が来ると分かっていたのか、盾に力を込め攻撃を受けようとする。攻撃のための動きが止まるのだった。この隙を見逃さず、マリアは横に飛び退くのだった。
避けてすぐに剣が地面に衝突する。横に回避をすると同時に、マリアは魔法を放つ。攻撃が来ていないことにより、ヴァンパイアの動きはスムーズだった。視野は広く、横に避けるマリアとその後ろにある魔法を視野に収めるのだった。
その後の行動は単純だ。攻撃が来ない盾を前に突き出す。その盾で魔法を防ぐのだった。渾身の自分の体を犠牲にした一撃は簡単に防がれる。何かしらの攻撃をしたり、メイスの棘を盾に引っ掛けたりすれば結果は変わっていただろう。
小さな行動がこの勝負を分けたのだった。失敗したことで、ヴァンパイアの有利な状況になる。そして横に避けたマリアを追いかけるために視線を向ける。その視界を体ごと向けた時だった。盾の裏にライトボールが設置されていた。そのライトボールが閃光を放つ。
至近距離でライトボールの閃光が目を焼き尽くす。腕で目を隠すことでマリアは防ぐことができていたのだった。時間差で数秒後に再び閃光のライトボールが作られる。発生源はマリアの背中だ。影がヴァンパイアを覆い尽くす。
そして再びマリアが魔物を召喚するのだった。その場所は、ヴァンパイアの真横だ。今度は距離も近く、攻撃がすぐに届く距離にある。失敗から即座に修正しているようだ。
その槍がヴァンパイアに向かって放たれるのだった。目が潰されて、数秒でこれが行われている。視界が見えない中、ヴァンパイアの行動は空中に飛び上がることだ。
その空中に飛び上がったところをマリアの魔法が撃ち抜くのだった。
この判断をする仕組みは簡単だ。左右を囲んでいることで、横に逃げる動きを数秒だけ封じることができる。そのため、逃げられる可能性が高いのは後ろか上になる。後ろに下がったところで魔法を放てばすぐに追いつく。上に飛ぶ前提で構えていたのだった。
腹に当たり爆発が起きる。腹に穴が開き、赤い血が垂れている。勝負はついたのだ。小さなガッツポーズをマリアは取っている。空中からヴァンパイアが落ち、地面に落下をするのだった。
再生能力が高いのは確認している。そのため、影の魔物をむかわせ、寝転がっているヴァンパイアに槍を突き刺すのだった。それはドロップに変わるまで続く。
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数秒後、ドロップに変わり出すのだった。マリアの勝利は確実なものとなり40階層の攻略を確実のものにしたのだった。
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