1579話
婆娑羅の手本が行われるのだった。その後、マリアが出す幻影の動きは改善され、より迫力を持ち実体であるかのような動きをとることができるようになったのだった。
まあ、そこの問題が解決できたのならよかった。影の魔物と同時に使う方がいいのかもしれないなー。
「召喚する方はどう動くの?」
影の魔物と合わせて動かす方が効率がいいだろう。
「そういや、精霊の幻影は出せないのか?ハッタリとかで使えるだろ?」
確かにと納得をしたのだろう。婆娑羅の案が優先されるのだった。そして、精霊の幻影が召喚されるのだった。
「通用しないと思うけどな〜」
「その理由は?」
「魔法が使えないから」
何かの攻撃手段がくると警戒させることはできるだろう。だが、それで終わりだ。幻影だとバレた瞬間、その誘導が全て失敗してしまうからだ。出すとしても幻影が黒色だと特徴に勘付かれていない、最初のうちに出すしか方法はない。
「警戒心を分散させるなら、精霊で魔法を使っていることが条件でしょ?まだ敵が生き残ってる?」
攻撃をしてこようとしてくる敵と攻撃をしてこない敵、警戒心が高いのは攻撃をしてくる方だ。さらに、近くにいるとフレンドリーファイヤーを危惧して魔法を放ってこない。
これさえ分かっていれば、近接攻撃を他のものに仕掛けることで簡単に対処できる。正直言って、その作戦は愚策だと考えた。
だが、精霊を使っていることにより、精霊と同じ姿をした黒い物体だ。それをみた時には精霊の1種と勘違いしてしまうだろう。魔法が強力な精霊がもう1体現れたとなれば、警戒心は上がっている。
だが、精霊を知っているとなれば、自分が使役をしているかマリアが放った精霊魔法を見たのかの二択になる。前者ならまだ有効かもしれないが、後者であれば敵が死んでいる可能性が非常に高いだろう。
奥の手中の奥の手を使っているわけだ。これで生き残っているものがいるのなら、ほぼ勝ち目はない。
「影の魔物を使おうよ」
「同時攻撃だろ?あと、影から召喚するって縛りがバレたら、対処されるだろ?」
「同時に幻影を出せば、まだ対処はされないでしょ」
幻影を攻撃し、残っている本物を幻影と勘違いするのが理想だ。そうすれば防御をされていないところに攻撃を仕掛けることができる。
「他にもさー。影を伸ばして敵の背後に召喚する方法覚えてる?今でもできるよね?」
マリアは頷いていることから、できるのだろう。
「そこに幻影を混ぜるとかもできるよ」
カラスの攻撃時に、幻影と実態を混ぜた方法と似たようなものだ。どれが幻影でどれが本物かわからない状態を作り出す。わざわざ精霊を召喚するよりも、見た目がそっくりな存在を出す方が効果的だ。
「疑うのなら試してみなよー。タイミングはマリアが始めてね?」
婆娑羅が戦闘ステージの上に上がっていくのだった。マリアをちょっと呼び出し、召喚する立ち位置や種類を伝えるのだった。
婆娑羅は槍を持ち、確実に影の魔物を殺すことができる立ち位置にいるのだった。数秒後だ。早速マリアが影を伸ばし、その影を媒体として魔物を召喚する。婆娑羅の背後に影の魔物が4体、正面に2体、左右に2体召喚されている。
その影の魔物全てが婆娑羅に向かって前進するのだった。戦い方を知っている婆娑羅はまずはすぐ後ろにある影に攻撃を仕掛ける。だが、それは幻影だ。そのまま、婆娑羅の槍を通り過ぎ、体をすり抜ける。
距離を詰める時間を稼ぐことができたのだ。その背後にいる3体の魔物が幻影かどうかの確認をしなければならない。結果は全て幻影だ。
これにより本格的に時間を稼ぐことができる。正面から攻撃を仕掛ける魔物にターゲットを向けるのだった。槍を薙ぎ払うことにより、影の魔物を1体炙り出す。だが時間切れだ。左右にいた2体の魔物が、婆娑羅の攻撃範囲の内側に入ったのだった。
「知ってて、これなら知らなければもっときついでしょ?あと手の内を晒した後にでも使える作戦よ」
影の魔物を背後に召喚することがバレたとしても、この方法を取れば即対処はされにくい。知っていた婆娑羅がこうなのだから、初見殺しならさらに酷いことになるだろう。
「なんか修正点とかある?」
「空中に影の魔物とか召喚できないのか?」
平面からの奇襲しかできないのだから、見つけられるとすぐに対処できる。あと、召喚する距離が婆娑羅を中心として一定だった。そのため、緩急をつけることでどの方向が先に攻撃が当たるのかの思考させ、反応を遅らせろと言いたいのだろう。
空中からの奇襲の択が増えれば、戦闘はより洗練されたものに変わるはずだ。その召喚方法の確認が終わり、奇襲をする際にどんなふうに奇襲をするのかの訓練を婆娑羅としているのだった。そして、再びマリアのダンジョン攻略の配信が始まるのだった。目標であった40階層に行くことができるのだろうか?
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




