1578話
幻影の検証、その1の命令についてが始まろうとしている。正直、回数制限があるとは考えている。カラスが落下してきたのに対して、ぎりぎりで避けるように動かしていれば、混乱状態にさせることができる。あの鷲も頭がいいのであればそれに気がついているはずだ。
だが、その地面を避ける行動を起こしていない。だから、回数制限か何かしらの縛りがあるはずだ。
「とりあえず、命令の仕方からの検証だね〜」
「お前の分身は?」
「念話で直接命令してる。失敗する時は俺の命令ミスかな〜。あと命令数も無限で、遅延もなしよ」
召喚獣の方も似たようなものだ。召喚獣の場合は攻撃や防御といった行動は自主的に行うようになっている。分身体との違いはそこだけだ。
「幻影の方はどうなの?」
「命令は声を出さずにできますね遅延も特にないです。命令回数ですが、1回だけですね・・・」
まじか・・・。それなら真っ直ぐに歩くように命令させるだけになるのも仕方がない。
「せめて2回は欲しい」
「命令数はスキルレベルが上がれば増えるんじゃない?知らんけど」
「それに期待って感じですね」
「今出せる幻影の数って上限あるの?」
「いえ、上限はない感じです。ですが、数を増やしていくごとに魔力消費が大きくなっていきます」
カラスを大量に作り出していたけど、魔力的にも余裕だったはずだよな・・・。となれば、スキルレベルを上げることだけが、最大の近道ってところだ。
「魔力消費は極力減らしたいから、幻影を作り出せる数は少なめか・・・。操作時間が何か変わる条件とかある?」
「操作ではなく出現する時間は、魔力を込める量で変わってきます」
「複雑な動きをした時、魔力消費が激しくなるとかは?」
「考えを持っていないのか、変化はありませんね」
1つの行動だけできる幻影を、いい方法で使うのか・・・。
「槍を持たせた幻影を持たせた幻影を歩かせてみて?」
問題なく歩くのだった。
「走らせることは?」
余裕だ。走らせることにより敵と幻影の距離が急激に近寄ることになる。それにより、マリアの体を隠す時間や行動を予測させない動きができないのだ。だから、マリアは幻影を歩かせている。
「緩急をつけることは?」
これはダメだった。走り出し、途中で歩かせることはできる。歩き出した状態から再び走ることができないのだった。てか、途中で命令の書き換えはできるんだ・・・。変更できるのが1回ってことね。
「槍の武芸者っぽい歩き方はできる?」
幻影の走らせ方は、普通の人間の走り方だ。その手には何も武器を持っていない。そのため脅威を感じないのだった。脅威を感じないことにより、その警戒度は下がる。どのみち、幻影を出したマリアを一番警戒することになる。
最悪、幻影を無視しマリアに攻撃を直接仕掛ける個体も現れるはずだ。槍を手に取った状態で歩くのでも問題はない。武器を持っていない状態で歩くのをやめてもらいたいだけだ。
「婆娑羅ー。手本」
向いた時にはすでに槍を取り出し、構えていたのだった。基本的に歩きながら近づく時は、脚を大きく上げずに細かく踏みしめながら進む。敵の武器次第だが持つ位置を変更する。この辺りをすることで脅威度が跳ね上がることになるはずだ。
頭がいい個体に引っかかるよう調節をしないとな〜




