1576話
その後2日間明けてマリアの訓練配信が始まるのだった。訓練配信という名目での手に入れたスキルである「幻影」の性能チェックをするのと戦闘に組み込むためのアイデアを出すという時間だ。
特に訓練をする後輩たちがいなかったことから、幻影の能力チェックに切り替えたのだった。ゲームでいうところの、新しいキャラや武器調節がきたから検証していこうみたいなものだ。
「幻影のスキルって使い勝手よかった?」
「あー。少しってところです」
攻撃系のスキルではなく、補助的なスキルだ。攻撃力を重視するのであれば、ありがたさをあまり感じないのだった。
「そういえば、影の種類ってどんな感じ?」
前回、鷲と戦った時には幻影は全てカラスだった。そのため、カラスと鷲の二種類生み出すことができるとあの後考えていたのだった。
「私自身と、あの召喚できる魔物の2種類ですね」
影の魔物の幻影を生み出すことができるのか・・・。召喚獣にも適応されるのなら、もし手に入れていると俺の召喚獣にも適応されていたか。まあ、黒色の魔物がいないからそれほど役には立たないだろう。
「そのスキルを入れた基本的な戦い方は?」
そういえば使い勝手は聞いていたけど、戦い方まで聞いていなかったな・・・。
「そうですね・・・。召喚する魔物の体が大きいので、それを影にして動きを見えない状態にします。そして、攻撃を避けて奇襲をするって形ですね」
「実践してみろ。オーク」
「はいはい」
俺の扱いが雑なことで・・・。
「武器は何がいい?」
「なしで大丈夫です」
マリアの戦い方はメイスの一撃か、魔法の一撃のどちらかを成功させるための戦いだった。
婆娑羅の合図とともにオークとマリアが近づいていく。そして、マリアの目の前に幻影を出現させるのだった。それに反応したオークが殴り、その拳がすり抜ける。
オークの殴りに幻影ごと巻き込まれないように、マリアの動きは止まっていた。そして幻影から突き抜ける腕を確認したのちに横に回るのだった。メイスなため、距離をしっかりと詰めないといけない。横を取る動きをしたため、オークの視界にマリアは写っている。
進んでいく幻影がオークを貫通し反対側にまで走っていく。これにより再びオークの視界が悪くなるのだ。このタイミングで近づくふりをして、後ろに下がる。タイミングを見ていたオークが腕を振るったが、空振りで終わった。オークは顔を横にすることで完全に視界が埋まるのを防ぐ。
だが、その横腹にライトジャベリンが刺さっているのだった。戦闘が始まり幻影を作り出した瞬間、自分の背後にライトジャベリンを作っていた。その魔法を放ったのだった。オークの横腹を貫き、オークは死ぬのだった。奇襲性能が高いな〜。完全に幻影の裏が見えないのが厄介なところだ。
「お二人ならどう対処します?」
「魔法で幻影ごと殺す」
「同じかな〜。それか動くことで視界を確保するかだね」
敵の動きが見えないことにより、次の展開が予測できない。それが厄介なだけだ。この戦いであれば、視界を確保する動きをすれば対処は簡単だ。魔法なんかを出して敵の動きを封じることもできる。やりよう次第って感じだな。
「そっちから見て視界ってどんな感じ?」
俺たちから見て幻影があることでその背後は全く見えない。だがマリアにとって丸見えであれば圧倒的に有利な状況になる。魔法が飛んでくればそれを守ることができ、横に動くのならその反対側に動くことで姿が見られないようにすることもできる。
「それが、全く見えないんですよね・・・」
「うちの槍一差しで終わる」
敵との距離感がわからなければ、攻撃範囲がわからない。この戦い方は相手が対近接戦闘用の戦い方だ。相手が中距離や遠距離武器を使うことを想定していないのだった。
「近接はいいけど、中距離や遠距離での戦い方の理解が優先って感じかな?」
まさか視界を捨てているとは思ってもいなかった。それよりも試している時に怪我をしていなかったものだ。・・・攻撃を見てから動いているから、怪我をしていないのか?まあ、対策は必要だな。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




