1570話
フラッシュの案を出したところで、どの案を使うのかはマリアが決めることだ。行動の全てを決めたところで、それが良い方向に働くとは思えない。そのため、俺が動くことができるのはここまでだな。
「作戦が決まったら教えて?カースウエポンで代用した訓練をするから」
「はーい」
婆娑羅は、マリアのところにつき作戦を立てるのを手伝っているようだ。カースウエポンを飛ばしつつ、上空で旋回をさせたり、落下をさせたりと擬似的なカラスの行動として使うことができるのかの確認だった。
幻影の再現ができないのが痛いところだ。もし再現ができるのなら、役には立っただろう。召喚獣でのシミュレーションの欠点はそんな特殊系のスキルを持った魔物を再現することができないことだ。再現ができれば、もっと戦闘が楽になる。まあ、ないものねだりだな。
カースウエポンを上空で旋回させつつ、横からカースウエポンで奇襲をする。よくある戦術だな。
「準備ができました」
「OK。始めようか」
安全のため、マジックバッグの中からサングラスを取り出し装着をする。そしてカースウエポンが旋回している上空の真下にマリアは立つ。準備ができたようだ。戦闘が始まる。
(マリアは何を選んだかな?)
旋回しているカースウエポンが落下を始める。それに伴い横に設置しているカースウエポンも動き出すのだった。
マリアから2つの魔法が放たれる。それはライトボールだった。
(フラッシュか分裂弾か・・・)
カースウエポンにその魔法が近づいた時だった。ライトボールがギュッと収縮され爆発をする。爆風が起こり、地面についている埃をも吹き飛ばす。
急激な風に煽られたカースウエポンは飛行を維持できなくなり、落下態勢を崩すのだった。まだ真上から飛んでいるものは威力を逸らしつつ横に逃げ再び空中に上がることができるのだった。
だが、側面から狙っていたカースウエポンは爆風により地面に叩きつけられる個体がいる。そのものたちは重傷を負い、動くことができない状態になるのだった。
カラスでも同じだろう。そのため、このカースウエポンは使うことができないと判断するのだった。その判断をさせる前にマリアは魔法を撃ち、カースウエポンを完全に破壊するのだった。
カラスと戦うのなら、そうなるのは当然だろう。だが、相手は幻影だ。普通に通り抜けてくる。それに怯まないのか?というのが問題として上がるだろう。魔法が効かなかったと考えれば防御に回る必要がある。その防御のタイミングで、奇襲をされる可能性もある。
今は、この戦術を使っている感じなのだろう。この爆風での落下を防ぐ魔法を対策した形に切り替える必要があるな。動くことができるカースウエポンでマリアの周囲を囲う。
剣先はマリアを向いているのだった。どの個体から攻撃ができるように構えているが、円を描くように動いているだけだ。本命は空中にいるカースウエポンだ。
広範囲に広がったカースウエポンが落下を始める。爆風が起きたとしても被害が出る範囲が狭まる。真っ先に思いつくのがこの策だった。
カースウエポンがカースウエポンが地面に落ちる時だった。マリアは上空に向かって魔法を放つ。選択された魔法はフラッシュだった。カースウエポンの剣先が当たりそうになった時に閃光が走る。
目眩しがされたことでカースウエポンが距離感を失い、地面に突き刺さる。それと同時にマリアの周りを旋回しているカースウエポンに斬撃を放ち押し退け、包囲から脱出をした。
経験の差だろう。フラッシュの範囲を誤解しているのだった。目眩しの範囲から出ていたカースウエポンが飛んでくるのだった。寸止めでマリアの動きが止まるのだった。
両手を上げ、ギブアップを示す。マリアが近づいてくるのだった。
「何がダメでした?」
「フラッシュの距離感の誤解かな?距離が伸びるほど、目が治るのは早いのと仲間の影に隠れてフラッシュが効かない個体が生まれてくる。それを動かしただけだよ。今回は経験の差かなー。この思考に入れれば問題はないよ。それ以外はよかった。婆娑羅は何かある?」
マリアの背後に立つ婆娑羅にそう聞くのだった。
「まあ、良かったんじゃね?」
その一言で背後に立つ婆娑羅の声でビクッとマリアは驚いているのだった。
「あとはフラッシュの対策だな。自分も食らっているだろ?」
「はい・・・」
「あいつみたいにサングラスをつけるか、一瞬だから奇襲されるのを覚悟して目隠しをするか。対策を立てるのならこれくらいだな」
「フラッシュの威力を下げることで、範囲を狭めるってのもあるよ?」
「数と戦うのなら、ダメだろ」
落下してくる個体を殲滅するのが目的なら、範囲は欲しいか。
「お前の場合はどうしてた?」
「指揮官を潰すときか、単体と戦う時にしか使ってなかったからな〜」
「その方法は?」
「目の前での爆破による目潰し、俺の動きは後ろに下がるか背中を見せる、アースウォールで壁を作り出す。この辺りかな?」
方法は単純だ。効果範囲から離れることで視野を敵より早く回復させる。見ない、光を遮る障害物を作り出す。タイアs区としてはこの3つが基準となるだろう。
「・・・参考にならねえな」
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




