1569話
訓練配信が始まるのだった。最後の配信から3日間空いている。そのため、何か新しいアイデアが浮かんできたのだろうか?今のままでは勝つことができないだろう。そこにプラスして新しい力が必要になる。遠距離の魔物に魔法攻撃を当てるスキルか・・・。
「結局どんな能力を手に入れてきたの?」
「いいスキルが思いつかなかったので、レベルを上げてました」
見つからなかったのなら、見つからないで別にいい。嘘を吐かれるよりもまだマシだ。
「案としては、水の濁流で木々ごと流すことですね。カメラマンごと流してしまうので得策とも言えず、悩んでいます」
木々を押し倒しての濁流にするのなら、一瞬の濁流にするのか持続的な濁流にするのかにもよるだろう。一瞬のものであれば、ジャンプしてもらうとか対策は可能だ。薙ぎ倒すのが広範囲になることを想定しているのだろう。だから、巻き込むことが確定しているのだった。
「ボスを見つけるのはそれでいいけど、空中にいる奴らがな・・・」
「今の状況であれば、空中にいるものは地面から狙うしか方法がないと思います」
囮として俺たちを動かして別方向から、マリアが奇襲を仕掛けるとかになるのか?それだとマリアがソロでクリアできたと誇ることができないだろう。仲間ありきでの作戦になってしまう。
あれをソロ攻略するのは無理か?1つだけあるとすれば、幻影を出し続けることでの魔力切れだ。この魔力切れさえ、引き起こすことができれば勝利は確実だろう。魔力で攻撃をすればぼやける。数秒で形が戻るから意味がないけど。
それで本物か偽物かの判別ができる。この特性を使い、全ての幻影を見抜くことで偽物と判別ができるはずだ。あと、幻影の特徴がある。それは元から予測していた行動のみを取ることだ。追加での行動は取ることができない。
そのため、分身体のような性能がついていないのだ。組み込まれている命令は旋回と落下の2つだけだ。それにより、落下スレスレで方向を変えることはなく地面に吸い込まれるようにして消えていく。
「引き寄せて、魔法で幻影を破壊するというのはどうですか?」
「幻影の破壊方法は?」
「まだわかりません」
「だったら無理。まだ見抜くほうが楽」
婆娑羅は辛辣だった。
「わざと引きつけます?」
「魔法を当てれるのならありだと思うよ」
前回の時には、幻影に対して魔法を当てていた。だからできるとは思う。
「それで何を狙うの?」
「空中に浮いている実態を全て消し去ることです」
「実態が無くなったかどうかの判別方法は?」
「何かしらの行動を起こしてくるはずなんですよねー。だから、なんとかなると考えています」
言い分がふんわりとしすぎており、かえって不安になってくる。
「あれが本気じゃない可能性もある。もしその時はどうする?」
カラスが舐めプをして本気を出していなかった場合だ。その時は落下速度や攻撃速度の上昇、この辺りが存在している。
「その時は警戒しつつ、どのあたりで避けるのかの確認をします。地面に近づいて避けるように変化が入ると思うので、集中をしていれば、偽物との判別ができると思いました」
「・・・どう思う?」
「ん?あーごめん。考えて聞いてなかった。さっき1つ思いついたんだけどさー。フラッシュとかどう?カラスを落下できるのかどうかじゃなくて、地面と激突させる感じ」
落下してくるカラスに急激な眩しい光を目の前で当てる。そうすることで一時的に視覚を奪う作戦だ。距離感を失うことを理想としている。距離感を失ったとしても、落下してくるスピードは変わらない。そのため、減速が間に合わず地面とあたり自滅をする。そんな作戦だ。
これならなんだかうまくいきそうな気がする。
「1回切りだろ?」
「まあ、効くの1回きりだね。思考をカラスの頭の中に埋め込むのが目的」
「あー。フラッシュと攻撃を混ぜる感じか」
「そーゆうこと」
婆娑羅が言っていたのもあるが、他にも目的がある。それは地面と衝突して死ぬことを恐れさせることだ。その場合、スピードが極端に下がり、フラッシュとして誤魔化した魔法攻撃が当たるという算段だ。まあ、うまく行った時がこの結果になるだろう。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




