1567話
マジックバッグの中から、タブレット式の固形回復薬を取り出す。
「タブレットか」
「そうタブレット。前衛を任され、ダメージを負っても回復する仲間がいない。そして、そのダメージをポーションをがぶ飲みをして防いでいるそこの貴方。もう、ダンジョンで腹をチャプチャプと鳴らしながら戦闘をしたくありませんよねー。そんな貴方にお勧めしたいのがこの商品です」
「なんでテレビショッピングなんだよ」
「売り込むため?まあ、検証をしていこうよ」
「検証、っつてもなー。食うくらいしかないだろ?」
「噛んだ時とか流し込んだ時とか?」
「主成分はポーションだから、どっちにしろ効果は出るだろ。なんだ?その顔」
婆娑羅がそこまで考えていたとは・・・。私感激です。って顔だ。
「かわりに傷口に埋め込んでみる?あと砕いて粉薬するとかは?」
「薬も砕かずに使うのが基本だろ?砕くのはなしだ。つーか始めようぜ」
死にかけの時に薬を飲むことができない相手に対して、口に含んで流し込む的な感じのがあるだろう。粉にしていれば、それをする必要もない。まあ、そんな時にはポーションを使えばいいか。
「そんなにゴブリンを傷つけたいとかストレス溜まってる?相談に乗るよ?」
「今後のことで相談をしたいところだったんだよな!」
「(機材が)危ないから槍を下ろしなよ〜」
煽りすぎたか?あの奇襲での一突きのあとすぐに槍の石突を地面に叩きつけるのだった。叩きつける力があまり力がこもってないため、ただのじゃれつきのようなものだ。いわゆる演出だ。
「はー、さっさと検証に行くぞ」
2体のゴブリンから1体を適当に選び、地面に落としていく。そして軽く傷をつけ、薬を飲ませる。傷が回復する。深く傷をつけた時もある程度まで回復するのだった。
「タブレットを3つ程度飲みこめば完治ってところだね」
「副作用とかはあるのか?」
「流石にゴブリンで検証はできないからなんともって感じ」
ゴブリンが人間と同じだとしてもそれを証明することはできない。ゴブリンに副作用がなかったしても、人間に出るのかもしれない。ここで検証したとしても、会社の方で人間相手に検証をするはずだ。二度手間になることからしない方がいいだろう。
「ゴブリンで検証するときは、声をかけてくれるだろうからその時かな」
「そういえば、この薬に期待していたよな?何に期待しているんだ?」
「それは魔力回復薬だね。魔力回復薬を作れるようになった時には、タブレット化させることに価値が現れてくるから、今後の薬業界の発展に期待って感じかな?」
「魔力回復薬か・・・。確かに重要だな」
「魔力回復ポーションをがぶ飲みとか考えたくないよ」
経験をしていないからその辛さはわからないけどね。とまあ、傷の深さと回復薬ごとの性能の確認が終わったことで、案件配信が終わるのだった。売り上げが上がるのか、下がるのかは知らない。性能だけを見て、知らしめることができたのであれば、売り上げは上がるだろう。
あとは値段設定とかだな。期待はしているが使わないからな〜。ポーション関係はどうでもいいことだ。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




