1566話
地面付近に降ろされたゴブリンの腕に深い切り傷が入る。そして血が垂れ、体を伝い支えられている棒を伝い、地面に溶け込む。
「まあ、見て分かる通り重症だよね?」
「まあな」
「今から行うのは飲み薬とかける薬のどちらが優れているのかの実験だよ。まずは飲み薬から」
ゴブリンの口を無理やりに開き、その中にポーションを流し込む。
「再生するか〜。ってことで、これくらいの傷が十分に再生することができるのがわかったね?じゃあ、次はかけてみようか。[ダークバレット]これでゴブリンも痛みがないはずだし、時間短縮だね」
「最初から使えよ。目の前で悲鳴を聞く身にもなれ・・・」
同じような深さの傷が出来上がるのだった。そこにポーションをかけていく。ポーションの効力が発揮し始める。細胞が再生され元に戻っていく。細胞の再生が止まるのだった。
「ん?止まった?結果は、飲む時の方が優れているって感じだね。わざわざ魔法を使わなくていい怪我であれば、ポーションをかけること。深い怪我であれば、ポーションを飲むこと。この二点を気を付ければ使えるねー」
「回復職がいないパーティーってあるのか?」
「あるでしょ?回復魔法ってどちらかと言うとレア扱いだし、誰も回復の奴隷にはなりたくないでしょ?あと射程、魔力量からの葛藤、魔力不足による後悔。この辺りが防げると思うよ?」
「経験か?」
「いや、想像」
「想像力豊かだな、お前」
「婆娑羅はないの?役に立ちそうな場面とか」
「特に思いつかないな」
「想像力がないね〜。ってことで次の商品の説明だー。2つ目の商品はこちら、塗り薬〜。あのポーションの塗り薬バージョンだよ」
全身拘束されているゴブリンが再び上に持ち上げられる。全身拘束されているものがポーションの非検体だと分かりやすくていいな。
「左端」
「早いね。流れを理解してきた?」
婆娑羅にどのゴブリンがいいか聞こうと思っていたが指を挿しながら即答されてしまった。
「塗り薬だから血に濡れたときに効果が落ちるって不安が残るかな?」
「普通に聞くだろ?」
ゴブリンからうっすらと出てくる血を拭き取り、そこに塗り薬を塗る。すぐに傷が修復するのだった。
「戦闘に余裕がある時に使えそうだね」
「戦闘中に余裕あるのか?」
「訂正訂正〜。戦闘後とかの余裕がある時ね。今度は傷をつけた後カメラ持ってね?」
「いいけど、何をするんだ?」
「汚れたくないでしょ?」
適当なゴブリンを選び、婆娑羅が深い傷をつけるのだった。そして婆娑羅がカメラを受け取る。マジックバッグの中に手を入れ、ゴム手袋を取り出すのだった。
人差し指と中指で薬を掬いだし、傷口に塗りたくる。血により妨害され、傷の表面にかさぶたができて終わるのだった。だが、何度も塗り込んでいくことで傷が修復していくのだった。
「回数でどんな傷でも修復ができるって感じだね」
「上級ポーション並みか?」
「数を多くするから最終的な回復量を見ればそのポーションと同じ、回復するのにかかる時間ならポーションが圧倒的に上って感じだね」
本当に余裕がある時専用の回復アイテムって感じだ。傷口を縫い合わせるとかで皮膚同士を近づけている時なんかは、再生時間が変化するだろう。こっちの方が金的にも安くなる。だから、上級ポーションを買うくらいなら、こっちを買った方が安い的な値段設定にするはずだ。
「最後の回復薬のテストを始めようか。俺的に本命の回復薬はこれかな?」
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




