1565話
回復薬の案件配信が始まるのだった。今回の衣装は科学者のような衣装だ。伊達メガネにスーツっぽい服装、そして白衣だ。腰には試験管と色のついた液体が入っているだけで、それ以上のことはない。そして配信が始まるのだった。
「今回の案件は、なまむぎなまごみなまたまご製薬様のご提供でお送りさせていただきます」
噛ませに来ているだろう。だが、残念早口スキルのおかげで乗り切ることができた。まさか、こんな時に役に立つとは・・・。
「よく噛まなかったな?」
「婆娑羅も言ってみなよ。ほらほら〜」
「断る」
「あれれ〜言えないのかな〜?」
「うぜーぞ」
少しイライラしてきたのを感じるのでここが引き気味だろう。
「そして今日試すのは、ポーションがどれほど効くのかの確認だー。実験体は召喚獣で行うよ。てっことで実験体召喚」
ゴブリンが6体召喚される。
「さて、ここにるゴブリン6体が実験対象となります。そして〜」
土魔法でゴブリンの背丈の十字架を作り拘束をする。そして高さが上がり、ゴブリンの足は地面から離れる。
「快く実験に協力してくれるみたいだね〜」
「いや、あれ嫌がっているだろ・・・」
ゴブリンは抵抗するように手枷として磔にされている腕や足を離そうと必死にもがいているのだった。
「てか、これじゃま」
白衣を脱ぎたたみ直し、マジックバッグの中に入れる。裾が地面を擦っていたので歩きにくく、汚れが気になって仕方がなかった。
「サイズがあってなかったな」
「サイズに合っているもの売っているかな?とりあえず、婆娑羅にして欲しいことはあの実験体たちを傷つけることね」
それを言うと同時に、マジックバッグから槍を取り出すのだった。ボソッとマイクに入らないように
「腕、足を切り落とさないようにね」
と伝えるのだった。腕を切り落としても、そこから修復をすることはできない。だから、会社の評価を下げる結果になってはいけない。そのため、修復できるかできないかの怪しい程度の攻撃をしなければならない。
・・・予行練習でもしていればよかったな。
「ポーションは、すでに手元にあるよーってことで使っていこうー」
「その腰についているやつか?」
「いや、こっち(マジックバッグ)」
「そっちかよ」
腰についているものはただの色水だ。美味しくもなく、毒の可能性もあるものだ。あと、支給されているものを使う前に壊すのもどうかと思う。だから、マジックバッグに入れていたのだった。マジックバッグから支給されていたポーションを取り出していく。
「まず1つ目はこれだ!」
「普通のポーションだな」
そう見た目は普通のポーションだ。もちろん効果も普通だ。チャプチャプと瓶を振るい、中の液体が揺れる音をマイクが拾う。
「どの傷が治るのかの確認だね〜」
ポーションの数は、各5つある。抵抗して破られた時の対策はバッチリされているのだった。
「ど、れ、に、し、よ、う、か、な?」
選ばれたのは右から4番目のゴブリンだった。その土操作で磔にされているゴブリンが地面付近に降りてくる。
(あー。他を下げた方が目立つか・・・。まあ、いいや)
「婆娑羅さん、やっておしまい」
カメラを取り、婆娑羅の近くによるのだった。こうすればはっきりと見える。そして、抵抗をしている腕を傷つけ、うっすらと傷をつける。その軽い傷から血が出てくるのだった。
「暴れるのは邪魔だから」
その傷を見せ、暴れさせないように全身を拘束する。これにより身動き1つも取れない状態になる。マジックバッグの奥底に眠っていたティッシュを取り出し、ゴブリンの血を拭き取る。
「傷ができているよね?まずはかけるだけで、回復するのかの確認だね」
婆娑羅にポーションを渡す。婆娑羅は蓋を開け、ゴブリンに液体をかけるとゴブリンの体についていた傷が治っていくのだった。
「ここは普通のポーションと同じかー。次は飲ますから、似たような傷をつけてねー」
「これでいいか?」
婆娑羅は足に傷をつける。指でOKと合図を出すのだった。
そして、全身拘束されていたゴブリンの頭部分が開き、口と鼻が現れる。首がそれ口が皿のようになった。さらに口の中に土が入り込み、無理やり口を開けさせるのだった。ポーション責めの始まりだ。
「ポーションを口の中に流し込んでね〜」
まあ、修復はできた。ここまでは予想通りだ。修復するまでの時間も同じだ。
「さて、どれだけ深い傷が修復できるのかを試すけど、婆娑羅はどれがいい?」
「めんどくさいから、こいつで良くね?」
「1体だけに何回も実験をするとか、ひどい!かわいそうに」
「召喚主が何言ってるんだ・・・」
「ファイナルアンサーを聞こうか。どのゴブリンがいい?」
「めんどくせーな。右端で」
ガッチガチに拘束されていたゴブリンが上がっていき、別のゴブリンが降ろされるのだった。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




