1563話
ダンジョン探索あるあるの事件が起きてしまったなー。もう配信は終わり、もう、外に出ようとしているのだった。
「どうするの?」
「殺すのは確実ですね」
なんだ、やる気があったのか。なければ殺してスキルブックでもドロップさせようと思っていたのに・・・。
「必要なスキルってなんだと思います?」
「それは「そりゃあ、空中戦闘だろうな」」
婆娑羅よ、セリフをとるなよ。てか微妙に違うし・・・。
「それよりも、空中の移動手段じゃない?」
魔法を長距離飛ばそうとしているから、魔力消費が大きくなる。だから距離を詰めて魔力消費を減らす必要があると考えた。俺の場合は、シールドを足場にして近づけばいい。婆娑羅の場合は槍を飛ばすことができるのだから、魔力消費はさほど大きくはない。
あとは揺さぶりだろう。カラスがいるのは空中でより高い場所にいる。槍や剣といった近接武器は警戒をしなくていい。カラスが警戒をするのは、魔法だけになる。魔法だけ対策をすれば最強になれるのだ。だから、ここで近接攻撃を仕掛けることができれば、対策はできていないため楽になるだろう。
「・・・雨でカラスの体を降らして質量を上げて落とすとかどうです?」
魔法を当てようとするのだから、魔力消費が大きくなる。ならカラスの高度を下げればいいと考えたのだった。
「カラスだからねー、無理だろうと思うよ・・・。羽が弾くと思う」
鳥には油を出して羽をコーティングする器官がある。それにより、水を弾くのだった。
「弾かれないように固定化か・・・。スライムとかどうだ?」
「マリアは召喚士じゃないよ」
「ん?あー、そうだったな」
召喚士であれば、スライムの召喚ができる。そのため、カラスよりも高度が高いところに行き、空中からスライムを落としカラスにくっつけることができれば、地面に叩き落とすことができるだろう。重量を上げることを考えるといいアイデアだと思う。
召喚士になったところで、スライムのレベル上げもしないといけない。おそらく召喚してすぐのスライムであれば、カラスに力負けをして振り落とされるはずだ。案としては面白いが、実現はできないだろう。
「それ以前に、どうやって命令しているものを見つけ出すかだね。この辺りは思いついている?」
「お二人はどうします?」
「広範囲での森林破壊」
「婆娑羅と同じ。脅威と感じればボスは空中に逃げるだろうから、そこを叩くかな」
隠密系が相手なら、隠れることができない場所を生み出せばいい。木々を巻き込みながら一方向を破壊すれば、その指揮官も巻き込まれるかもと考えるはずだ。それにより飛ぶことで範囲外に逃げたり、距離を空けることで命令に時間差が生まれたりする。そんな場面を作り出すことができる。
「使う属性は?」
「火」
「土かなー」
水の大精霊を使うことで同じことができる。だが、光魔法だと同じことはできない。俺と婆娑羅が選択するのが光か水であれば真似をすることができるだろう。だが、どちらも選ばれていない。無理だと感じても仕方がない。
光と水は属性として見れば相性がいいんだけどな・・・。エネルギー系と物質系で弱点をつく上で相性はいい。だが、それだけで終わってしまうのがこの2つだ。
「奇襲されない状況を作るのはどうです?」
「木々の下に入り込む感じ?」
マリアは頷いている。
「直線としてのみ動かすことができるのなら、幻影と本物の判別ができるな。あと、話がずれてるぞ」
そんな感じで模索をしていたが、いい作戦が思いつくことはなかった。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




