1560話
37階層のカラスの階層に移動する。カラスの階層では、マリアは緊張しているのだった。先ほどのカニとは違い、カラスの方は明確な弱点が存在していない。そのため、負ける可能性が生まれている。
そしてカラスに見つかるのだった。20羽のカラスが今いるところの上空を旋回している。見つかったのは確実だろう。急降下をしてくる。鋭い嘴を持つカラスは、体を高速で回転させ抉り取る力を上昇させる。
より効率的に肉を取るために進化をしたのだ。頭の良さからなせる能力の上昇だ。こんな方法を取ってくるカラスなんて存在していただろうか?この階層の攻略動画も見ていないから判断ができない。落下してくるカラスの他にもまだ上空に残っているものが存在している。
そして、カーカーカーと3回鳴くのだった。木々で反響しているため、位置の特定は難しい。多くの木々がガサガサと音を立て揺れる。その方向からカラスが10羽飛んでくるのだった。上からやってくるカラスと側面からやってくるカラス。二方向から挟まれる形になったのだ。
最初に到着をするのは、上から降るカラスだ。カメラマンを守るために上空にシールドを作り出し、飛んでくるカラスを受け止めようとするのだった。だが、カラスはシールドを通り抜け、その先にいるカメラマンの体も通り抜けるのだった。
幻影だ。上方向からやってくるカラスは全て幻影であり、地面に吸い込まれるようにして消えていくのだった。上空には再び20羽のカラスが旋回をしている。この上にいるカラスが全て幻影なのか、一定数だけ本物なのか、その判断が勝負の鍵だろう。
数秒の時間が経ち、横方向からやってくるカラスが到着をする。タンクとして、盾を構えているものを先頭にし、その後ろに他のボディーガードが並ぶのだった。盾とカラスがぶつかる時だ。カラスが回転をする。嘴と盾との対決だ。当たらなかったカラスは、そのまま通り過ぎ森の中に消えていく。
再び上からカラスが落とされる。幻影なことから、魔法で破壊することもできない。ただ、魔法をすり抜けることでのみ、偽物か本物かの判別ができる。だが、同じ見た目のカラスが前後左右に入り乱れ動くことで、どれに魔法を撃ったのかがわからなくなる。受け止めてから、どれが偽物かを判別するしか方法はないのだ。
盾で受け止めたボディーガードは盾に小さな穴が空いたが、他の者が回り込みカラスを殺す。何体のカラスがいるのかわからないようにするとか、性格が悪いなー。一切手を出していないが手を出すべきか?
俺の方に飛んでくるカラスは皆、幻影で攻撃性がなかった。運が良かっただけだ。次は本物が来るのかもしれない。だから警戒をしておかないとな・・・。
休む暇もなく、上から落とされたカラスが攻撃圏内に入るのだった。精神を削る戦い方だ。ボディーガードを狙い撃ちだ。10羽中7羽が先行し、ボディーガードの方向に落とされるのだった。だが全てが、幻影だった。
他方向から攻撃を仕掛けていたカラスはギリギリまで幻影のフリをする。そして、地面と当たる寸前で方向を変えることで地面と並行にして飛行するのだった。狙いはボディーガードだ。1人のボディーガードに対して、2羽のカラスが襲いかかる。1羽は足に、もう1羽は腕に噛みつき、回転することで千切り取る。
戦力外の荷物になったのは確実だろう。血が大量に出始め、近くにいた仲間の体を染め上げる。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




