1559話
マリアのダンジョン配信が始まるのだった。新しい階層に行く時の付き添いだ。それ以外のソロで行けることを確認した後は、配信はするものの付き添いはいない状態になっている。配信が始まるのだった。
「本日は、なんと36階層からの攻略です!」
パチパチと軽く拍手をしておく。
「その前に、昨日のことの説明をしてもらおうか?」
「昨日はねーカニが無性に食べたくなったから、食べに行ってただけ。そしたら、配信に巻き込まれちゃった。ナニナニ?まさかカニでも食べたかった?」
「うちに対する扱いについて」
「婆娑羅だけの特別だよ」
特別に扱いが雑なだけだ。それ以上も以下でもない。友達として会話をしている感じに近い。取り繕うこともなければ、変に緊張することもない。気ままで楽に会話ができる友人というのが、婆娑羅の立ち位置だろう。
「時間も有限ですから、さっさと次の階層に行きましょうよー」
そう言いながら、マリアが婆娑羅の腕を引っ張っていくのだった。36階層のカニとの戦いが始まる。だが、魔法への耐性がないことから瞬殺で終わるのだった。カニの切り身がドロップするのだった。
「ほら、婆娑羅の好きなカニだよ」
「もうその話は終わったわ!てか、好きな食べ物と違うし」
「じゃあ好きな食べ物ってなによ?」
「ローストビーフ」
「豪華だねー」
「好きな食べ物の話でもしています?私は、チーズササミですね」
「油物かー」
「嫌いですか?」
「いや、油が回った後がきついでしょ?あと片付けがめんどくさいからかな〜」
揚げ物をした後の残った油、あの片付けがめんどくさい。流すこともできず、油を取る用の掃除用具が必要になる。まあ、キッチンペーパーやティッシュに吸わせてから捨てるのが無難だろう。まあ、1回作ってから捨てるのがめんどくさいと判断して、それ以来作っていないけど。
「揚げ物なら天ぷらだな」
「天ぷらって種類多いでしょ?その中で一番好きなものは?」
「筍の天ぷら。お前は?」
「太くて長い、カニカマの天ぷら」
「とり天ですね」
とり天かー。ゆず塩で食べるとり天が好きだな。出来立ての衣がサクサクとしているものがいい。だが、時間が経てば、鳥から出た油を吸い衣がすぐにふにゃふにゃになるから、大量に食べれないんだよなー。
雑談をしながら、カニを避けつつダンジョンの奥地に進んでいくのだった。何度かカニと遭遇するものの、余裕で殺すことができるため、関係がない。マリアとの相性が良すぎる敵だな。相性が悪ければ、苦戦もしただろう。相性が良すぎるため、緊張感のないダンジョン探索が進んでいくのだった。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




