1557話
恋バナって、何を話せばいいんだ?無難なものであれば、普通に好きなタイプとか恋愛経験的なものだろう。
「恋バナって何を話します?」
「さあ?」
おい、話を振った言い出しっぺよ。
「まあ、カニでも食べながら話そうよ」
「適当な質問からでいいか。好きな髪型はショートかロングか?」
ここで似合った髪型とかいうのであれば、優柔不断と煽ればいいだろう。
「・・・ショート」
「なんで恥ずかしそうにする・・・」
性癖や本名を暴露するのならそう恥ずかしがるのもわかる。ただの髪型でここまで恥ずかしがるか普通。
「そっちは?」
コソコソと耳打ちをする。そして
「ショートだってさ」
両方一緒か。
「こう、キュンとくる動作とかあります?」
「例えば何がある?」
「髪を耳にかける動作が好き、長い髪を集中するためだけに結ぶとか?」
よくあるのがこの辺りだろう。
「顔がしっかり見えるところ?表情がしっかりと見えて、コミュニケーションがとりやすいから?」
「なんで疑問?もっと自信を持ってー」
「こいつの場合は、初恋の人がショートヘアだったからだったっけな?」
それを言われると无緡は宮本の頭を叩き、首を絞めるのだった。そして、絞められつつある腕を叩き、ギブアップをする。恥ずかしさと怒りがなくなり、力が抜けていくのだった。
初恋の人かー。恥ずかしいようなむすがゆいような。少しニヤニヤしてしまう。
「初恋ね〜。どんな人だったんですか?」
恥ずかしさから少し睨みつけてくるのだった。
「年上の家庭教師の人」
おおー。ガチモンの初恋を聞けるとは思ってもいなかった。その顔は赤くなっており、恥ずかしさが込み上げてきているのだろう。喋ったことに対して、誰もツッコミがない。
「告白はしたの?」
「していない」
なーんだしていないのか。なら、ここから深掘りをすることはできないだろう。告白をして拒否をされたとかなら、話を聞いたり深掘りをしたりするのは面白い。だが年の差から告白しなかったのであれば、深掘りはできない。
「宮本さんの方は?」
「初恋かー。いつだっけな・・・」
「そういえば、二人は幼馴染とかですか?」
「ん?あー、中学からずっと一緒の腐れ縁」
「じゃあ、恥ずかしい話とかも?」
「全部知ってる」
「チョコをもらいすぎて虫歯になったとか。ラブレターをもらって告白されて、それを振ってから女泣かせの異名を手に入れたり」
「チョッ、それ黙っていろって」
「さっきのお返し」
口の方に手を当て、押さえ込み話をさせないようにしている。
「互いに同じ人をすきになったことは?」
「あー、あるな」
「あった?」
「高二の」
「うわ、思い出した最悪」
そんなに悲惨な思い出だったようだ。是非聞かせてもらいたいものだ。
「どんな内容ですか?」
「ほぼ同時に好きになったは良かったけど、最終的に他のやつが彼氏になるってオチ、そのまま結婚もしたから入る隙もないよ」
「あまり興味が湧かなかったので、初恋の方をお願いします」
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




