1523話
50階層のボス戦は、神の象徴を破壊すること、と看板に書かれているのだった。要するオブジェクト破壊型のボス戦だ。
「神の象徴か」
「銅像でしょ?」
教会のシンボルとして存在しているような神の形をかたどった像だ。それか、神が行動を起こしたとされるその伝承を元に書いた絵画、このどちらかだろう。
「どうする?動き回るか、楽をするか。どっちがいい?」
「楽な方がいいに決まっているだろ」
50階層に足を踏み入れる。出てきた場所は崖付近だった。そして、目の前には街が広がっている。円の形で作られている城壁にその中心には大きめの城がある。そして隣に、それよりも少し小さめの建物が1つ立っているのだった。
小さい方が教会だろう。分身体を4体召喚し、火魔法の準備をするのだった。大きめのファイヤーボールを作り出し、役目をおえた分身体は消える。ヒュ〜と音を立てながらその火球は上空に登っていく。
「た〜まや〜」
その火球は爆ぜた。赤や黄色、オレンジといったさまざまな色の火を放ち花となる。きれいな開花だ。その火の粉が街を燃やそうと襲いかかるのだった。
火の粉が落下をしてくる時に、風によってその火は消える。だがその現象が起きるのは、より上空にあった時だけだ。地面と近すぎることでバラバラに弾けた火の粉は街に降り注ごうとする。だが、空中を覆うバリアにより、その火の粉は防がれた。
「ダメだったな」
「あれは予想外」
バリアを使えるのなら事前に教えてもらいたいものだ。門は3つだ。中に入るしか方法はないだろう。
「・・・どうする?」
「魔法的にはどれくらいで突破できそうか?」
防ぐ系の魔法だと考えて、その効果範囲の広さ、魔法を防ぐための魔力消費、多分オート反応だろう。
「元の魔石が判別できないからなんとも」
これが答えだ。魔石が小さければ、すぐ破壊できるかもしれない。魔石が大きく、魔力を貯める能力を持っていればこのバリアを突破するのは不可能だろう。だから、分からない。
「それなら正面突破だな」
目に魔力を集中させ視力を上げる。そして街の中を覗き込むのだった。
「さっきの魔法で中は荒れ始めた」
「門の箇所は?」
「3カ所とも兵が集中してる」
「街の住人の避難は?」
「慌ただしく、家の中に立て篭もり」
街の住人を盾に突き進むことはできない。
「誘導しようか?」
「ああたのむ」
「目立つ感じで誘導するから、目立たないようにね」
兵士の強さが分からないな。不安要素があるのなら、この兵士の強さってところだけだ。隠密を発動しつつ、空中に上がり準備を始める。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




