1517話
35階層に足を踏み入れる前に思い出した。
「婆娑羅〜、俺たちを使ってもらうって言ってた話どうなったの?」
「あ、忘れてた・・・」
「まだ始まってないんだし、伝えてみれば?」
婆娑羅がマリアに伝えにいく。
「ピンチになったら引くから、大丈夫だって」
「クリアはできるでしょ、魔力は満タンだし」
クリアはできても周回はできない。そんな予測が立っているのだった。
フィールドはいつもと変わっている。それは、野外戦闘になっていることだ。そして防衛対象は背後にある門だ。馬が地面を踏み、蹄鉄を鳴らす音が響き渡る。その大群は砂埃を宙に巻き上げ、存在を表す。敵軍のお出ましだ。
まずは騎馬部隊の突進から始まる。馬以外は見当たらない、距離が離れているからだろう。馬の上には人がのている。人の見た目をした魔物だ。そのため、殺しても罪にはならない。まず話さないのだから、罪を意識する必要はない。
「来たぞ」
門のところまでシールドで上がり、遠くを見渡す。巨大な生物はいないが、攻城兵器がいくつかある。守りとして入った方が良さそうだ。
「精霊よ、その恩大なる力を私にお貸しください」
そのマリアの呟きと共に水の大精霊が久しぶりに召喚される。数分の溜めが発生する。その間に気にするが近づいてくるのだった。そして大精霊が波を引き起こすのだった。空中から塊とかした水が落下し、波が造られる。その水全てが、やってくる軍隊を押し流した。開けた土地だからできる方法だ。
1mを超える波だ。全ての馬や人間を薙ぎ払い、押し流す。出現している魔物を全て薙ぎ払うのだった。マリアは魔力切れ間近でふらふらとしているのだった。卑怯な技と言っていいだろう。
まあ、クリア扱いだ。・・・これでいいのか?そんな不安が出てくる。波や人間により持ち込まれた攻城兵器は破壊され、後衛の人間も波に押し流される。流石は大精霊だな。魔力消費が多すぎて真似をしたくない。
「クリアおめでとう」
再現性はあるが、連続性がない。ボス戦だからこそできる戦い方だな。ちょうど2時間くらいか。今回の主役であるマリアも魔力切れだ。
「終わっておく?」
「そうだな」
「終わりましょう」
ってことで配信が終わるのだった。もっとギリギリの戦闘をすると思っていたんだけどな・・・。あれは強すぎるわ。自分の能力を強くせずに精霊を探す人が多いわけだわ。
「これをするのはレアな人だけだから、真似しようとしない方がいいよ。範囲攻撃だから仲間も巻き込むよ」
カメラにそう告げておくのだった。そして、配信が閉じられる。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




