1512話
婆娑羅の方はどうだ?
「どんな感じ?」
「ぼちぼち」
ふーん
「放ってみてよ」
大きさの調節ができたのか。前回よりも大きさが二回りほど小さくなっているのだった。そしてスピードの調節ができている。緩急もなくスピード重視の攻撃だ。的を貫き、粉砕するのだった。
通常のゴブリンを三体召喚する。
「とりあえず、このゴブリンを殺すこと」
「はいよ」
スピードの直線でどれだけ当てにくいかを実感するがいい。少し離れて観察しようとしていた時だった。ふと伝えていなかったことがあったなと思い、後ろを振り返りながら伝える
「避けることができないように巨大化させて、ゴブリンに当てるのは無しだよ。・・・遅かったか」
婆娑羅の方は魔法が貫通してもいいように厚めの壁を何十にも重ねる完全防御をとっているのだった。その壁に正方形の形をした土魔法が突撃しているのだった。ゴブリンたちは圧死は確定だな。
「おせーよ」
「すみませんね」
ゴブリンを再び召喚するのだった。そして少し離れ婆娑羅の観察をする。一体目のゴブリンが初見のスピードを舐めていたことで死ぬ。そして、残りのゴブリンはそれを見てから、必死に回避をしようとしているのだった。今回のお題はスピードを出しすぎて、魔法の操作性を疎かにしているようだったのでその制裁みたいなものだ。
工夫をすればお題はクリアできるようになっている。普通に突き刺さっても戻ってくる頑丈性を有しているのなら、魔力切れは大丈夫だろう。
魔力の絞り方をどう説明するのがいいのだろうか?蛇口で例えるのがいいのか?魔法として出現するのはユニークスキル関連であるのは確実だ。本当にどう伝えればいい?
口だけでいうのは簡単だ。軽くコツを伝えたほうが効率はいい。・・・難しいな。今度聞いてみるか。魔力を絞るって考えを捨てるか?細かい魔法を使いたいと言っていた。おそらくそれは、弾幕としての魔法を使いたいことだろう。
その魔力を生かして、1つにするのではなく複数個にするってのでもよさそうだな。並列思考と全ての魔法を管理操作する技術と多いからもっと先かな。
マリアの方は練習用に用意していた的全てに穴が開いているのだった。一週目は終わりか。
「連続何回まで行ける?」
「4回です」
「壊れなかったものは?」
「ありません」
最初に4回もできれば十分だろう。ならもう一周行ってもらうか。
「休憩してからもう一周ね。そういえば、戦闘中に魔力切れってなったことある?」
「ないですね。なりそうな時には引き上げるようにしています」
ないのか。ならこの訓練はあまり意味はないのかもしれない。
今度は少し改良をしてもいいだろう。穴の場所は最後の方に行くと中心部分を開けるように変わっている。その30cm後ろに硬めの的を設置するのだった。柔らかい的を本気で撃ち抜いた時にはその後ろにある的に当たる。そのため、威力を調節していないのが丸わかりになるという仕掛けだ。
仕掛けに引っかかるかな?婆娑羅が最後の一体を殺すのだった。すぐさまゴブリンを召喚し、あの壁の前で飛んでくる魔法を避けるように命令する。
「工夫点は何か見つかった?」
「緩急をつけることか」
「まあ、あってるけどさー。予想の1つ上はやめてね」
ゴブリンがフェイントに避けることができるわけがない。簡単に引っかかるのだから殺すのは仕方がない。
「当たってるのならいいだろ」
「魔法の配分で工夫したことは?」
「スピードを減らして操作性を上げる」
「そう!その考えをするための訓練だよ。操作性さえ上げればあとは簡単に当てれるのに」
戦闘経験が長いのだから、これくらい普通に思考に入るのか?初心者用として組んでいる。そのため、経験者との思考力の差での成長具合か・・・。基本的な訓練は変えずに、そのままで変えていけばいいか。
「そういえば、形の変更ってどこまでできるの?」
「形か・・・いろいろだな」
形の変更もできるのなら、魔術師とか賢者レベルということになるのだろう。魔法使いの状態をスキップしているのだから、使いにくくて当然だな。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




