1506話
「気になってたんだけど。毒使ったことあるの?」
「うちはないな。お前はあるんだろ?」
「まあね〜」
懐かしいな。破壊された毒の短剣のことを思い出すのは実に数年ぶりだ。
「毒の効果って他に何があった?」
「普通の毒に、猛毒、麻痺、混乱かな?」
「結構種類多いな。で、その短剣は?誰かに挙げたのか」
「いや壊れた。・・・使ったことがあったからさ、今回はどんな毒かな?って思ってたんだよね」
結果は言わずもがなだ。
「その4つの中だったらどれが強かったんだ?」
「麻痺かな。一番使い勝手が良かったのと、一方的に攻撃ができたからね。婆娑羅はどんな毒が強いと思う?」
「睡眠だな」
「へー、睡眠か。その理由は?」
睡眠薬のような感じで考えているのだがあっているのだろうか?
「目的は眠気による集中力の低下だな」
「眠らさなくていいの?」
超強力にして、匂いを嗅いだり体内に侵入したりすると即座に眠る。そんな毒ではなくていいのか?
「眠るのは一番だが、効きが悪くてもこっちの方がいいだろ?」
「確かにね」
麻痺毒であれば、痺れるか痺れないかの二択だ。毒も効くか効かないかだ。だが睡眠という生き物が持っている特徴を引き出すものだ。そのため、抗えるものは少なく効果もある。起きていたとしても襲いかかる眠気と戦わないといけない。それにより集中力や注意力が低下すると考えているのだ。
「短剣のデバフは何だった?」
「武器強化禁止・・・」
「そりゃあ辛ーし、すぐに壊れるわな」
ゆっくりと歩きつつ、雑談を行い10階層の入り口に到着するのだった。
「ってことで到着〜」
案件のため、使用するであろう階層は誰も立ち入れないようにされているのだった。そのため、待ち時間もなく、ボス戦を開始できるのだった。
婆娑羅とボスの大蛇の戦いが始まる。入ると同時に婆娑羅が走り出し、大蛇に短剣を突き立て振り切る。振り切ったのちに腕の慣性をビタッと止めるのだった。そして、短剣が落とされる。その短剣を逆手持ちに切り替えるのだった。
バッテンになるように短剣で傷を入れる。傷を入れるとその傷を蹴り、距離を開ける。大蛇が尻尾でなぎ払おうとしていたのだった。側面を走りつつ、大蛇の体に短剣を突き立てる。方向転換をし、婆娑羅のいた方向を見ようとする大蛇だが、その正面に婆娑羅はいない。
次の瞬間には大蛇の頭を短剣で突き刺し、地面に叩きつけているのだった。婆娑羅の勝利で終わる。まあ、勝ってもらわないと困るんだけどね。
「どうだった?」
「まあまあ、だな」
「使いにくいところとかは?」
「切れ味もあって使いやすい。だが、鍔がないから武器を持つ敵と戦うことが想定されていない。だから、戦わない人が設計したんだな。と思った。普通に使うための問題はそれくらいだな。あとは頑丈さが及第点、刃こぼれがよく起きるって感じ。安いんだから、これでいいだろって感は強いな。強くするのなら、刃の部分だ」
「どの階層から刃こぼれするか試す?」
「そうするか」
配信時間的にまだまだ、余裕がある。だから、トレントの根での攻撃で短剣は折れるのだった。強さ的には、15階層が限界だったようだ。
誤字脱字があればしていただけると幸いです。




