某は名前である 猫はまだいない
ネタはわかりますね?
某は名前である
猫はまだいない
あまりに素晴らしい名前のため
そんじょそこらの駄猫にくれてやるには
ちと惜しいので
某を名乗るのに相応しい
名猫が現れるのを
いまか いまかと待っておる
ヴェルヴェットのつややかな毛並み
オムレットの柔らかい肢体
コルセットの要らぬプロポーション
シャーベットの涼やかな風と
シューベルトのリズムで歩き
ジュリエットの愛くるしいおもかげを浮かべ
トイレットのしつけも完璧に
ハムレットの哀しき業を湛えながらも
ベリドットの輝く瞳にはそれでも
リグレットのかけらも宿さない
某を名乗るのに相応しいのは そんな猫
されど いまだそんな猫は現れずに
某は どの猫にも名乗られることなく 時を経る
やがて 某という名を おぼえているものもいなくなり
某は どの猫にも名乗られることなく
だれからも忘れられた名前となるのだ
あぁ 口惜しや 口惜しや
どんな名前なんだろう???