表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

テーマ詩集:道

そのさきになんにもない道を

作者: 歌川 詩季

 悲観でも、楽観でもなく。

 そのさきになんにもない道を

 おれは 鼻歌まじりで

 歩いていくんだぜ

 ときには ふりむいたりもするんだけど


 そのさきになんにもない道を

 おれは ほんのきまぐれに

 駆け抜けてもみるんだぜ

 息切れして 座りこんだりもするけどな


 どっかにたどりつけることだけが

 道がある意味じゃあ ないだろう?

 どこへもたどりつけなくたって

 この道をいく おれをほっといてくれないか



 そのさきになんにもない道を

 おれは ばか笑いしながら

 歩いていくんだぜ

 ときには 悔し涙なんか浮かべたりもするんだけど


 そのさきになんにもない道を

 おれは ほんのささいな原因で

 怒鳴り散らしてもみるんだぜ

 疲れちまって 黙り込んだりもするけどな


 どっかににたどりつけることだけが

 ひとの生きかたじゃあ ないだろう?

 どこへもたどりつけなくたって

 だいじなもんは けっして忘れやしない



 そのさきになんにもない道

 そのさきにはなんにもないんだぜ


 おまえの笑顔はないし

 あいつの泣き顔もない


 光り輝くお宝はないし

 あこがれの視線と おほめのことばもない


 欲しくてたまらなかった肩書きも

 わずらわしく まとわりついたしがらみも


 なにかをえるための道じゃなくて

 なにかをうしなうための道にさえ

 思えてきたこともあったよな



 すすむために この道をいくのか

 にげるために この道をいくのか

 かかとのやぶれたウォーキング・シューズが

 そんなのしらねえさって つぎの一歩をせかす



 そのさきになんにもない道よ

 そいつだけが おれのいく道だったなら

 そのさきになんにもない道よ

 そいつこそが おれのいく道だったなら

 そのさきになんにもない道を

 愛してやる そんなことくらいが

 そのさきになんにもないおれの

 どこへもたどりつけない 生きかたなのかもな

 達観ですら、ないかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ただそこにある道を行くこと、それ自体にもきっと意味はありますよね。 「どこへもたどりつけなくたって」の一節が好きです。 色々と考えすぎて動かないよりも、動いた方がきっといい。 たとえ何かを失…
[一言]  世捨て人のようでも、ちゃんと周りを見てて。  気ままに歩いているようでも、ちゃんと『その道』を歩いている。  ぶらぶらしててもふらふらしない。  自分というもののある人なんだなぁと思えま…
[一言] いいうただと思います。 まえがきとあとがき、だがそれがいい、それでいい。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ