そのさきになんにもない道を
悲観でも、楽観でもなく。
そのさきになんにもない道を
おれは 鼻歌まじりで
歩いていくんだぜ
ときには ふりむいたりもするんだけど
そのさきになんにもない道を
おれは ほんのきまぐれに
駆け抜けてもみるんだぜ
息切れして 座りこんだりもするけどな
どっかにたどりつけることだけが
道がある意味じゃあ ないだろう?
どこへもたどりつけなくたって
この道をいく おれをほっといてくれないか
そのさきになんにもない道を
おれは ばか笑いしながら
歩いていくんだぜ
ときには 悔し涙なんか浮かべたりもするんだけど
そのさきになんにもない道を
おれは ほんのささいな原因で
怒鳴り散らしてもみるんだぜ
疲れちまって 黙り込んだりもするけどな
どっかににたどりつけることだけが
ひとの生きかたじゃあ ないだろう?
どこへもたどりつけなくたって
だいじなもんは けっして忘れやしない
そのさきになんにもない道
そのさきにはなんにもないんだぜ
おまえの笑顔はないし
あいつの泣き顔もない
光り輝くお宝はないし
あこがれの視線と おほめのことばもない
欲しくてたまらなかった肩書きも
わずらわしく まとわりついたしがらみも
なにかをえるための道じゃなくて
なにかをうしなうための道にさえ
思えてきたこともあったよな
すすむために この道をいくのか
にげるために この道をいくのか
かかとのやぶれたウォーキング・シューズが
そんなのしらねえさって つぎの一歩をせかす
そのさきになんにもない道よ
そいつだけが おれのいく道だったなら
そのさきになんにもない道よ
そいつこそが おれのいく道だったなら
そのさきになんにもない道を
愛してやる そんなことくらいが
そのさきになんにもないおれの
どこへもたどりつけない 生きかたなのかもな
達観ですら、ないかもしれません。