第02話 「幼馴染との対面」
全く意味不明な…身体の入れ替わり?を体験して、青嶋さんの姿をした僕は、何とか遅刻をせずに
青嶋さんの席に座り込んでいる…。いつもの癖で自分の席に座りかけたら…、
青嶋さんにツッコミを入れられて…慌てて、青嶋さんの席に行ったのでした…。
何か教室内がざわついている…どうしたんだろう?走ってきて息が切れていたけど…落ち着いてきたので
辺りを見渡してみる…え!?僕の姿が…なんか違う!?
髪は立ててツンツンヘアーになっており、制服のボタンをはずして…すごくラフな格好に…。
誰…この人は…僕じゃ…ない?なんか…カッコいい…。
そこに、親友の翠川 俊樹がやってきて…あ、どうしよう…。
「おっおはよ、皆人…何だか雰囲気が変わったな?」
「ん?おっはー翠川!」
「へ!?苗字読み??どっどうしたんだよ、お前…」
「ん?何もないぞー気にするな~アハハー!」
俊樹がすごく微妙な顔つきをしている…すごく疑われているよ、これって…。
何か青嶋さん…ノリと勢いだけで、僕を演じている…。
青嶋さんもっと上手くやってよー僕はそんなキャラじゃないのに…。
そうドギマギしながら二人のやり取りを見ていると…。
「おはようー美沙希ちゃん」
「あ!?…えーと、おはよう…ございます…」
僕に声をかけてくれたのは確か…青嶋さんと仲がいい桃谷 汐里さんだ。
「ん!?…美沙希ちゃん…何か…変?」
「えt!?そっそんなことは…ないよ?どっどうしたの??」
「むー、その喋り方…変だよ?ホント大丈夫??」
「うっうん…大丈夫…だよ?」
じーっと僕の顔を見つめてくる…そんなに見つめられると…恥ずかしんだけど…。
人見知りの激しい僕は、咄嗟に目を反らしてしまった…。
桃谷さんの顔がだんだん近づいてくるよ…近い!近い!!
『キーンコーンカーンコーン』
「あ!授業が始まっちゃう…またあとでね、美沙希ちゃん」
「…うん、また後でね」
授業開始のチャイムが鳴ってくれたおかげで、何とか回避できた、危なかったよ…。
でも、どうしよう…青嶋さんのことを僕は、全然知らない…喋ったこともそんなにないし…。
どう、青嶋さんとして振る舞えばいいか、僕にはさっぱりだよ…心配になってきた。
後で青嶋さんときちんと話をしなくちゃ…すぐにバレてしまうよ。
僕は不安と心配で、胃が痛くなってきた…何とかしなくちゃ!
授業が終わり、僕は早速行動に移した…青嶋さんのいる席に向かって…。
「あお…赤坂くん、ちょっと…良いかな?」
「ん?何だよ?」
「良いから…少しだけだから…お願い」
「おっおい!何だよー」
そう言って、青嶋さんの手を引っ張って、席から立ち上げ、教室の外に…。
廊下ですれ違うみんなに…ジロジロ見られて、恥ずかしいけど…仕方がない…無視無視。
廊下の奥の階段に連れてきて、青嶋さんの手を離す…。
「どうしたんだよ、赤坂…いったいどうしたのさ?」
「どうしたもないよー青嶋さん、もっと上手く…僕を演じてよー!」
「僕、そんなキャラじゃないし…俊樹に…すぐバレるよ!」
僕の一番懸念である…俊樹との対応が全然なってないから…心配で仕方なかった。
強く詰め寄ったにもかかわらず…青嶋さんは、溜息をつきながら…。
「は~ん、赤坂だって、汐里に対して全然なってなかったし…人のこと言えないぞ?」
「そっそれは…そうだけど…」
「まぁ仕方ないんじゃない?お互い何も知らない訳だし…最初だけだよ、そのうち慣れてくるって!」
「え!?そっそんなものなのかな…」
そう言ったものの…僕は、俊樹とは幼馴染であり長い付き合いだ、隠しきれないと思うけど…。
お互い知らないのは仕方ないし、これから話し合って行けば良いことで…。
僕は、青嶋さんに提案をしてみることに…。
「僕は心配で仕方ないから…青嶋さん、これから色々と話し合っていきませんか?」
「元に戻る方法を探さないといけないし…お互いの生活が困るでしょ?」
「ん~あたしはこのままでも良いかな…生理もないから、男の方が楽だし」
「え!?それは困るよー!僕、女性のこと全然知らないし…」
青嶋さんは、何を言い出すのかな…このままが良いって、僕は絶対反対だし!
何とか青嶋さんを説得しないと…男に戻れないよ!
「そのことだけど、赤坂、汐里に相談したらどうだ?」
「あたしは、今は赤坂なわけだし…手助けできないんだよね…説明だけで理解できる?」
「確かにそうだけど…どう話したらいいのか…」
「汐里ならきっと大丈夫だ、あたしの幼馴染で…すごく頼りになるから」
青嶋さんの言っていることは確かに正しい…男である僕の身体で出来ることは限られてくるから…。
上手く説明なんてできないよ…どう相談すればいいのだろう…。
すごく心配になってきて…僕が俯いていると、突然、背中を叩かれた!?
「痛い!?急に何するの?」
「心配ないって!何とかなるものさ~アハハー」
「そんな…むちゃくちゃだよ…」
「おっと!そろそろ授業が始まるよ…教室に戻るよ!」
そう言うと、青嶋さんは教室に戻っていった…時間を確認すると、授業が始まっちゃう!
僕は心配ごとは解消されないまま、教室に戻るのでした。