第18話 「私の気持ちは…」
私の家族に、久しぶりに会ったのは良かったけど…。
華凛の態度が、良く分からなかった…いつもバカにされて…酷いこと言われてたのに…。
『私のお兄ちゃんに近づくな!』みたいなこと…言われたんだけど…どういうことだよ…。
俊樹には、『お前のことが好きだ』って、告白されたわけで…。
ずっと、幼馴染で親友だった彼から…そんな言葉を…言われるなんて…。
私はどうすればいいのだろう…私は以前から、青嶋さんのことを好きと…、
彼にも…相談していたわけで…どんな気持ちで聞いていたのだろうか…。
私の気持ちは…うん、やっぱり青嶋さんのことが…好き…。
その気持ちは…変わらない…。
でも、初めての告白が…俊樹からなんて…少し嬉しかったりするのは…何故なんだろう?
私たちは、同性なわけで…親友でもあるわけで…分からない…何なの!?この気持ちは!
気持ちがスッキリしないまま、青嶋家に戻ってきた…。
もちろん誰も帰ってきていないので、部屋着に着替えて…部屋の片づけを始めた…。
こんな時は、家事をするのが、一番楽かもしれない…何も考えなくていいから…。
あらかた片付けも終わって…一息ついたときに、ふと、スマホを見てみると…、
俊樹から、着信やメッセージがいっぱい来てた…うわ…全然、気づかなかったよ…。
でも…なんて返せば良いの…私の気持ちは…何も返事が出来なかった…。
明日、学校では…どんな顔で会えば良いのだろう、俊樹と。
そうな…答えの出ない悩みで頭を悩ましていると…。
玄関が開いた音がする…えっ!?こんな時間に…誰が帰ってきたんだろう?
玄関まで出てみると…青島さんのお父さんが帰ってきた。
こちらに気づくと、笑顔とともに…。
「ただいま、美沙希…」
「おっおかえりなさい、パパ…今日は、帰りが早いんだね」
「うん、そうだね…美沙希の料理が、また食べたくなってね…」
「えっ!?」
「また、作ってくれるかい?」
「うっうん、簡単なもので良いのなら…」
色々と出来事がありすぎて…食材を買ってくるのを忘れていたよ…。
冷蔵庫に残り物があったかな?冷蔵庫の中身を見てから…何を作るか考えるかな…。
「すぐに準備するから、パパは…先にお風呂でも入ってきて」
「了解した」
パパは、寝室に行って、着替えを済ませ、お風呂場へと向かった…。
その間に…私は、冷蔵庫の中を物色する…これだと、チャーハンが作れるかな?
野菜も少しあるし、サラダと…唐揚げを作ろうかな?献立が決まれば、さぁ…準備だ!
唐揚げ用の油を温める間に…チャーハン用の具材を細かく切って…唐揚げの味付けを行う。
油が温まってきたら、味付けした鶏肉を入れて…揚がる間にご飯を炒めて、具材を入れて…。
テキパキと料理を仕上げていく…。よし!完成~♪味付けもばっちりだ~。
久しぶりに誰かのために料理したな~家でも母さんの代わりに料理してたし…。
テーブルに、出来た料理を並べていると…。
「お!美味しそうだな~とても良い匂いだ」
「ちょうど出来たよ~どうぞ!…お口に合えば良いけど」
「よし、いただきます!」
青島さんのお父さんが、私の料理を口に運ぶ…。
う~久しぶりに料理を作ったから、すごくドキドキするよ…。
「うん、旨いな!すごく美味しいぞ、美沙希」
「ホント!?…良かった」
私も料理にを口に運ぶ…うん、美味しく出来ている~♪
母さんの味を再現するのは、まだまだだけどね…。
「いつの間に…こんな料理が出来るようになったんだ?」
「えっと…友達に教えてもらってね?密かに練習してたんだ」
「私も、もう高校生だし…ね?」
「そうか…美沙希も、いつの間にか高校生だもんな…」
「しかし…ママとの味付けとは違うけど…また違った美味しさだな」
ギクッ!?…それは…青島家の味付けは、知りませんから…再現できませんよ…。
少し焦りながら、料理を食べていく…あまり話すと、ボロが出そうだよ…。
今日も…色々なことがありすぎて、疲れたよ…ふと、ため息が出てしまう。
「なんだ、美沙希?ため息なんかついて…何か悩み事か?」
「えっ!?あ~ちょっと、友達から相談があって…」
流石に本当のことは、言えないので…適当に誤魔化すことにした。
1人で悩んでも答えが出ないし…何か、ヒントでも掴めれば…。
「ほう…恋の悩みでも、相談されたか?」
「そうなんだよね…それが…また複雑でね?その子は、ずっと前から好きな人がいて…」
「告白できずに悩んでいるところに、幼馴染みである異性から、突然、告白されちゃって…」
「ふむ…それは、複雑だな…」
「うん…その子にとって彼は、幼馴染みであって、異性とは見られないわけで…」
「告白の返事も出来ずに、その場から…逃げちゃったみたいで…ね」
「今後、その彼とどう接すれば良いのか、分からないみたいなの…」
誰かに置き換えて、自分の悩みを、青島さんのお父さんに、打ち明けてしまった…。
でも、苦しかったんだ…誰かに言わないと、辛くて…どうしようもなかったから。
「うーん、パパは…女の子の気持ちは、よく分からないが…」
「その幼馴染みの彼のことを…意識しているから、苦しんでるんじゃないかな?」
「もっと…自分に素直になれば、良いと思うけどな~と、パパは思うよ」
「そう簡単に、素直になるのは難しいけど…少しは気が楽になると思うけどな」
そう言って、青島さんのお父さんが、恥ずかしそうに照れ笑いをしている…。
もっと、自分に素直になるか…まだ私の中で、ピーンと来ないけど、
少しは、気が楽になった気がする…ありがとうございます。
「ありがとう、パパ、なんか…少し楽になった気がする」
「そうか…少しでも、役に立てれば嬉しいよ」
「それに…久しぶりに美沙希と、ゆっくり話すことが出来て、嬉しかったからね」
「うん…私も」
それから…軽く雑談を交わし、食べ終わった食器を洗い物して、お風呂に入る…。
パジャマに着替えて、ベットの中に入る…。
『自分に素直になる』…そんな簡単なことではない…けど、このままではいけないと思う。
どちらにしろ、俊樹の気持ちにどう…返事するのか、まだ決まらないけど、構えずに、
明日、接しようと思う…、とりあえず、メッセージを返しておくかな…。
『今日は、突然、逃げてごめん…』
『明日、ゆっくりと2人で話がしたいから、放課後に時間を開けてくれる?』
と送信をする…と、すぐに俊樹から返事が返ってきた。
『分かった…その話は、放課後に』
『ありがとう…おやすみなさい』
『おやすみ』
とりあえず、俊樹とは連絡が出来て良かった…今思えば、俊樹には、すごく迷惑をかけたな…。
でも、まさか彼から…告白されるとは思ってないし…お互い様かな?
でも、うん…なんか良い夢が見られそうな気がする…そう思って目を瞑るのでした…。