第16話 「突然の出来事に戸惑って…」
桃谷さんと一緒に向かったのは…バスケ部が部活を行っている体育館へ…。
もうすでに練習は始まっており、俊樹たちはランニングを始めていた…。
その中に、青嶋さんもいて、一緒に練習を行っていた。
私たちが、練習を見に来た姿をバスケ部のみんなが気が付いて…。
「おい!あの青嶋さんが…体育館に来ているぞ!?何かあったのか??」
「いつ見ても、可愛いな…しかも、桃谷さんも一緒だぞ!?」
「学校内での美少女が2人も、俺たちの練習を見に来ているのかよ!?」
「ひゃっほいー!これはテンション上がってきたぜ!良い所見せないとな!!」
何か…ランニングしながら、それぞれ何か話し合っている…。
しかも…すごく、みんな嬉しそうだった…何で!?
俊樹がこちらに向かって、手を振っている…私も小さく手を振り返す。
「おい!今の見たか?俺の方に手を振ってくれたぞ??」
「バーカ、お前なわけないだろう…絶対、俺のはずだ!」
全く何をしているのか、バスケ部のみんなは…子どもみたいに、はしゃぎ過ぎ。
さすがは青嶋さんのことはあるかな…美少女だもんな~性格はあれだけど。
バスケ部のマネージャーに呼ばれて、体育館の中央でイスを出してもらって
そこに座って、練習風景を見させてもらうことに…。
それから、パスの練習、シュートの練習などが始まって…。
紅白戦が始まった…すごく楽しみ~♪頑張れ~青島さん、俊樹~。
「おし!青嶋さんに、良いところを見せてやるぜ!」
「おいおい…それは俺だぜ?やらせねーよ!」
「いつも俊樹にばっかり…カッコつけさせはしないぜ!」
「俺だけじゃないぞ?気をつけろよ」
また、なんか言い合ってるし…ケガをしないように頑張ってほしいよ…。
バスケも結構、身体が激しくぶつかったりするし…熱くなるのは良いけど、大丈夫かな…。
心配そうに見てる私と反して、桃谷さんは、すごく楽しそうに紅白戦が始まるのを待っていた。
「私、バスケの試合を間近でマジマジと見るのは、初めてだから…すごく楽しみ~♪」
「私は、俊樹がバスケ部だから、何回か試合に見に行ってたかな?応援しに」
「そうなんだね~ふ~ん…」
桃谷さんがニヤニヤしながら、私のほうを見てくるんだけど…。
私…なんか変なこと、言ったのかな…?
「え!?何かあった?」
「ううん、べっつに~♪それよりも…ほら!試合が始まるよ~」
むー…何か桃谷さんに、はぐらかされた感じもするけど…まぁいっか。
紅白戦が始まったので、そちらに集中することに…。
青嶋さんが赤チームで、俊樹が青チームに分かれての試合になった…。
えっ…これって…私は、どっちを応援すればいいの!?
自分の中では、青嶋さんを応援するのが…当たり前だと思っていた…のに。
心の奥底では、俊樹を…応援したい自分がいる…。
理解できない何かわからない感情が、私の判断を鈍らせている…ホントに何よ…もう!
どうしたら良いか悩んでいると…。
「美沙希ちゃん、少し…考え過ぎだよ?自分の思うまま…行動してみたら?」
「え!?…うん、そうする…」
桃谷さんには…何もかも、お見通しのようだった…私って分かりやすいのかな?
悩む必要なんてなかった…青嶋さんは…憧れの人であり、俊樹は…幼馴染で親友なのだから…。
2人にケガが無くて…試合を楽しんでくれれば良いのだから…2人を応援すればいい!
「赤坂くん~、翠川くん~、2人とも頑張れ~!」
「うんうん!2人ともガンバレ~♪」
私と桃谷さんが、青嶋さんと俊樹を応援しだすと…他の男子たちから不満が…。
「何だよ…俊樹と赤坂を見に来てたのかよ…ちぇっ」
「青嶋さんに、良い所を見せようと思ってたのによ…」
みなさん…どんな理由で、バスケをやっているのかな?…そんな疑問が出てしまうよ…。
私にどうしろと…言うのですか?ううっ…仕方ないな…。
「みんなも頑張れ~!」
「あっ!美沙希ちゃ~ん、ダメだよ?男子を誑かすようなことしちゃ…」
「え!?そっそんなつもりじゃ…」
「分かってないな~美沙希ちゃん、可愛いのだから…勘違いしちゃうよ?男子たち」
「相手が勝手に、思い込んでる事なんだからね?イチイチ相手にしない!」
「ううっ…分かりました…」
「もう…そんなことして、傷つくのは、美沙希ちゃんなんだからね?気を付けてね!」
「はい…ごめんなさい…」
桃谷さんが、珍しくすごく怒っている…私のことを心配してのことだろう…。
私の軽率な行動で、自分だけではなく…周りのみんなにも、迷惑をかけてしまっている…。
でも…1つ、間違えてることがある…可愛いのは…青島さんの容姿であって、私ではない。
それ言うと桃谷さん…怒るから、絶対に言わないけどね…。
とりあえず反省もしたことだし…試合に意識を戻そう…。
俊樹がボールをドリブルしながら、ゴールに迫る…が、そこに青嶋さんが来て、ブロックをする。
その瞬間、俊樹がニヤリと笑って…フェイントで鮮やかに、そのブロックをかわしていく…。
そのまま、俊樹がランニングシュートを決める…すごい…すごくカッコいいー!
「翠川くん、ナイスシュート!」
思わず、俊樹を称賛して、声に出してしまった…悔しがる青島さん…。
中学からバスケをしている俊樹だから、バスケが上手なのは分かるけど…、
こうあっさりと…青嶋さんをかわしていくなんて…さすがだな~って思ったよ!
今度は、青嶋さんの赤チームが攻める番…パスを回しながら…少しずつ攻めていく…。
青嶋さんがボールが回ってきて…ドリブルで切り込んでいく…そうはさせまいと俊樹が、前に出る。
ドリブルで前行くと見せかけて、後ろに下がり…そこから、ジャンプシュートをする青嶋さん…。
そのまま、ゴールリングに吸い込まれていく…こちらもすごい…とても素人とは思えないよ…。
「すごい!すごい!!赤坂くん、ナイスシュートだよー!」
「…青嶋さんって、バスケはやってないよね?」
「うん、あの子のすごいところは、他人のプレイを見て、それを真似できることなんだよね…」
「そうなんだ…カッコいい…」
それからの試合の運びは、俊樹と青嶋さんとのゴールの取り合いとなった…。
どちらかが決めれば、また取り返す…そんなやり取りが続いたけど…、
スタミナのある俊樹の方が有利となり…俊樹のいる、青チームの勝利となった…。
すごく青嶋さんは、悔しがっていたけど…それでもすごいと思う…ホントかっこいいな…。
それから、部活は終わり、片づけを終え、みんなは着替えへ部室に戻っていった…。
そういや、部活が終わったら、俊樹が話があるって言ってたけど…何の話なんだろ?
改まって、言われると…気になっちゃうよね…相談事かな??
とりあえず…指定された体育館裏で、俊樹が来るのを待つ…。
この間、ここで変な事件があったから…あまり、ここに来たくないんだけど…。
そんなことを考えていると、俊樹がやってきた…。
「皆人、すまないなー待たせたみたいで…」
「ううん、それは良いんだけど…それより、話って何?…相談事とかかな?」
「…いきなり、こんなことを言われても、あれなんだけどな?」
「…うん?」
何だろう…俊樹らしくない…歯切れが悪い、ものの言い方をするんだけど…何か、調子狂うよ。
まったく何の話をされるのか…さっぱり分かってなかっただけに、次の言葉に凍り付いた…。
「…俺、お前のことが…好きなんだ」