表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非公開  作者: しゅん
9/9

カウントスリー その2

「次弾が自動的に装填されるセミオートタイプ。トリガーを引き続けると連射されるフルオートタイプもあるけど、私はこれが一番好き。」

撃たれた足が動かない。立ち上がることができない。上手く呼吸ができない。スポンジ弾が当たった痛みではない。まるで、本当に足に弾丸を撃ち込まれたみたいだ。

「だって、一人に向かって何発も打つなんてナンセンスだと思わない?自分は下手な鉄砲ですって言っているようなものだよ。」

下手な鉄砲も、数打ちゃ当たる。三橋先輩は一発で当てた。僕の右太ももにスポンジ弾を命中させた。三橋先輩は引き金を引く前、カウントスリーと言っていた。バスケのスリーポイントシュートも、銃も同じだというのだろうか。

ダン、と体育館の床を踏み締めた振動が僕の頬に伝わる。崩れ落ちた僕の前に現れたのは春家だ。春家は三橋先輩の手元の銃を目掛けて足を振り上げた。180度に開いた春家の足は、三橋先輩の銃をはじき飛ばした。

「シュートの腕には自信があるみたいですが、キープ力がありませんね、スティールです。」

小さな黒い塊が体育館の床を滑る。春家が銃を蹴飛ばした。

「君は多田後輩と違ってバスケにはあまり詳しくないみたいだね。スティールは相手からボールを奪う行為だよ。スティールと言うなら、私から銃を奪わないと。」

そう言って三橋先輩は飛んでいった銃のところに歩いていく。

「多田君、逃げるよ。」

気づくと、春家がそばにきていた。僕の肩を持ち上げて、立ち上がるように促す。

「彼女は規能を持っている。逃げるぞ。」

規能。聞き覚えがあった。そうだ、春家と別れる前、確か言っていた。規則に従わず、規則を従える者。

僕はほとんど引きずられる形で、体育館を後にした。僕と春家は、背後から三橋先輩に撃たれることはなかった。その代わり、三橋先輩は僕たちに一言、

「最後の弾丸は、必ず自分に使う。」

と言った。


いいね、評価、ブックマークしていたただけると、明日もかく励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ