ときめくのは困る
何だか最近、ちょいちょい王子にときめかされて困る。
いや、このまま結婚するならそれで構わないんだけど。
このトキメキも甘んじて受け入れるんだけど。
でも
多分、そうはならないよなー
与えられてる王宮の一室で、椅子の背にもたれて天井を見上げた。
ほら凄い。
こんなところにまで財力が。
きっと名のある画家に描かせたのであろう見事な絵が、ベコンとへこんで二重になった天井の縁を飾る。
やっぱりさ、釣り合わないよ
ため息を吐く。
この前の王子の言葉は嬉しかった。
…その後の余計な一言はともかく。
でもやっぱり、釣り合いは取れていない。
それは最初からわかっていた事だ。
でも王子の株が上がって、その結果用済みになる、という可能性は考えてなかったけど…。
国王がまだ何にも言ってこない以上、婚約は一応まだ続行だけど。
でもどうせ破棄するなら、できれば傷が浅いうちにリリースして欲しいんだけどな…。
なんて、そんな文句も言える立場じゃない。
この婚約を破棄されたら、すぐ領地に引っ込んでクーにこの胸の傷を癒してもらおう…
なんて思って、またため息を吐いた。
そう、傷なのだ。王子との婚約を破棄されたら、私はきっと傷つく。
今だって、既に痛いくらいなのだ。
どうにもできないって、わかっているのに…。
………うん。
もう、認めようかな。
私は……多分、王子のことを好きになってしまった。
今日中にもう一話アップします。