忘れよう
いつも午後のお茶の後は、授業はないので王子と遊んだりしているのだけれど、流石にアレの後でそうもできず大人しく部屋に戻った。
ターニャにさっきの事を聞こうかと何度か迷ったけど、確認するのも勇気がいって結局聞けなかった。
うわの空でお風呂に入って、うわの空で夕食を食べて、うわの空でベッドに入った。
この時間になっても、まだ考えてしまう。
アレは…何だったんだろう…
王子は、どういうつもりで…
わからない。
…ただのじゃれあいの延長線上の弾み、かな…?
うん…多分そうなんだろう。
少なくとも、計画的犯行ではなかった。
王子も凄くびっくりしてたみたいだし。
…一言もなく、逃げ出すくらいに。
私も…めちゃくちゃびっくりしたけど。
これは…アレだ。
犬に噛まれたとか、飼い犬に手を噛まれるとか、犬の耳に真珠とか…
って最後のは違うか。ちょっと色々混ざった。
それはただのオシャレだ。
でも要するに、事故扱いでいいやつだ。
きっと。
うん、そうだ。
よし、忘れよう。
一晩寝てサクっと忘れよう。
そう、忘れるんだ。
あの時の王子の真剣な顔とか、顔にかかった息とか、頬に触れた柔らかい何かの感触とか………
〜〜〜〜思い出すんじゃない!
ぐっすり眠って、全部綺麗さっぱり忘れるんだ!!
ガバッと布団を被って、ぎゅっと目を閉じた。
今日中にもう一話アップします
 




