表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/112

プロローグ

「私……じゃ、ダメかな」


 短い黒髪をさらりとなびかせ、カヅキはまるで()()()みたいな端正な顔立ちを今にも泣きそうに歪ませ、俺を切なげに見つめていた。


「どこでも、触っていいから」


 頰を赤らめながら、カヅキは恥ずかしそうに言った。

 どこでも……って――。言われて視線が向かうのは、そのほっそりとしつつも、柔らかなカーブを描く身体だ。

 ひらひらと短いスカートが風に揺れて、カヅキの柔らかそうな太ももをチラつかせている。

 倒錯的……とでも言えばいいのか。

 カヅキがミニスカートを履いている様は、やはり違和感があって落ち着かなかった。

 小学生のとき、同じアイスホッケークラブのチームメイトだったカヅキ。いかつい防具で華奢な体を覆い、ハーフみたいな小顔にフェイスマスクを被せ、リンクの上を颯爽と駆け抜け、勇ましくタックルかましていた。学区も違ったし、中学入ってからはお互いクラブを抜けて、接点は無くなったけど……それでも、たまに土日に遊んだりしてて……そのときだって、カヅキはTシャツにジーンズ姿。しかも、『俺』って言ってて……。

 だから、ずっと――高二になった今の今まで、カヅキを男だと思っていたんだ。


「少しずつ触れていけば、慣れると思うんだ」カヅキはぱっちりとした目をキラキラ輝かせ、俺にぐっと顔を寄せてきた。「だから、手伝わせて。陸太(りくた)の女性恐怖症、私が治してあげる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ