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作者: 赤紫

日本では虹を七色としています。この七色にしか色を見分けない世界のお話です。なので、あおは全て青となります。

 レテノールモルフォが好きだ。

 といっても、蝶の中で最もレテノールモルフォが好きとかじゃない。むしろ蝶は嫌いだ。管も、鱗粉もギョロっとした目も、そして昆虫特有の節がみえる体が何よりも嫌い。モルフォ蝶の(あお)は僕の特別(・・)だった。


 それに、大きい翅が()い。写真だと、節の目立つ体は小さくなって、綺麗なとこしか写ってないのだ。それに、生で見る時にも視線を切ってくれる。

 綺麗な翅が見えて、都合良くそれ以外を隠してくれる。


 だから、当然の選択として僕はかくれんぼの時に上品で人目を引く青を身に纏う。体は見せない様に、肘を突っ張り身体を大きく見せる様にすれば誰も青い布と僕を結びつけられない。



 ……こうして仮想の体を作っていた僕は、いつしか誰にも観測されないものとなっていた。これはそんな話だ。


 ここには神がいた。言霊が影響力をもって、現実を改変するような。そんな世界だった。


 かくれんぼでなくたって、隠れたくなった時に(都合の悪い時ほど)青を好んで身に纏った僕は青くなれる様になってしまったし、青と隠形の相関を強めた、ある種、青を信奉していた僕は神を作り出してしまった。


 神は僕に憑いている。神は信仰で育つから、たった一人の信徒から離れられないのだろう。


 僕は前提として僕であるけれど、神もまた神だ。赤子は自身の力を理解していないし、青の神は(そもそも)常に青いのだから、常に周りから隠れられてしまう。


 一度、思考すら青になりかけた。その時の僕は紛れもなく青だったと思う。でも、だからこそ今、僕はこうして青になっていない。

 僕は青になった時、(あお)になったらしい。全ての(あお)を統べることになった僕が(あお)を奪い去った。唯一の(あお)を持つモルフォ蝶は翅を失った。

 統べていた(あお)が世界から消えたから信仰が更に弱まったのだろうか、(あお)でいるときだけは僕でいられた。


 僕は、僕を隠す(あお)が好きだ……どうしてだろうね。



「好きなのは、みたくない自分を隠すからか……」


 ……僕はまた青に逃げ込んだ。

ふりがなのついた青はモルフォ蝶の青として、無仮名の青と分けています。


私は言霊信仰をしています。皆様はどうでしょうか。

“言霊信仰はしていないが、プラセボ効果は信じている”といった方がいたのですが、言葉によるプラシーボが存在すると信じたなら、それは言霊信仰だと思います。

なんとなくこの世界観をふんわりと(誰かに)伝えたくて書きました。


疑問があれば、ご質問いただけると幸いです。

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