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OUTER-CaGe  作者: 檀宝海
3/3

第一夢 起きてた頃 分岐1-Bルート バッドエンド「突然の怪物と飽和している少女の悪意」

バッドエンドの方です。

鬱展開というか、ダラダラした文章かもです。自分で自分の顔は見れないのです。鏡を使ってもね。

   慌ててへりを握りしめた 。

▼ 落ちたら楽になれるかも …

 あんまり強くたたかれたもんで、僕の身体はへりを乗り越えて海へ自由落下し始める。時速60kmちょいで動いている船から落ちて、助かるビジョンがみえない。そんな風なことを考えている僕の思考は、奇妙なまでに遅く一問くらいなら微分方程式の練習問題とか解けそうだ。...いつのまにか、海に背を向ける形になっていた僕は、どこか冷めた表情でデッキから手を伸ばしている金髪少女を見つけた。


(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ)

センは狼狽し、後悔の念に駆られるような状況にあっても、自分の体が冷静に動くのをTPSのように俯瞰してその場面を見ている気がする。自分の体が勝手に動いているようで、いいようのない恐怖を感じた。せめてもの意思表示として、センは伸ばした手に意識を集中させていた。

(いつかは落ちるからもうやめよう、もうやめようと思ってんのにまた押しちゃってさ)

そう、彼女、岬千は彼と出会った時から同じようなことを続けている。

(歩道橋とか路面電車とかとじゃくらべものになんないってば!!)

毎回押されるような場所に行く方も問題である。そのうえ、油断しているのだからひどいものだ。どちらも。

(でも、このままいったら、澪、スクリューかなんかでバラバラになっちゃうのかな)

センの声に気づき、船内から顔なじみが何人か慌てた様子で出てきた。

(それって...)


 海面に思いきり叩きつけられる直前、船の1階の船室の窓越しにイチと目が合った。

 普段はおっとりしている彼女の目が大きく見開かれるのを確認した瞬間、

バッッッシャッッッン!!!

背中が海面と衝突し、息が肺からすべて抜け出ていく。いや抜ける、なんてもんじゃない。強力な掃除機を口につけられて思いきり体の内側を吸われたようだ。

 そして酸素を奪われ、すでに意識が朦朧とし始めた僕の体は深海に向けて、急速に沈んでいく。


 はずだった。


「なに、.......あ...れ...」

イチこと、新峰一は友人であり恋人の澪がいきなり落ちてきたことの驚愕に目を見開いた次の瞬間には、似て非なる感情に目を見開かされることになった。

 恐怖である。

 彼女の目に浮かぶのは、まぎれもない恐怖であった。澪のことを心配しての恐怖でもあり、それ以上に未知なるもの、スケールの違うものに対する恐怖を抱いていた。


 そこには怪物がいた。澪の体をギッチリと挟み込んだ大きな顎と鋭利な牙。海面から上に見える、ウミヘビのように長い体。体からは海水によっても洗い流すことの叶わない、ぬたりとした粘液。昨今の怪獣界隈からしたら、シンプルに過ぎる姿のそれが周囲に与える恐怖の大半は、あまりにも異質な目によるものだった。

 その目はハエのような複眼でその時点でもウミヘビの体からは異質なのだが、複眼を構成する個眼のひとつひとつが無機質な魚の目をしていた。そのうえ、無感情な黒目はとち狂ったかのように違った方向を向いているのだ。そして時々、神経質に震え、一をジッと見たりするのだ。


 声も出せず、こわばったイチの体は白く透き通ったかのように血の気が引き、よくできた蝋人形のみたいに美しく見えた。僕は、胸にものすごい力がかかるのをかすかに感じながら、彼女に触れたくて、手をのばした。


 澪が自分に向かって手を伸ばしているのを、震えながら視認した一は恐怖で凍った心が彼への愛情で少し暖かくなったのを感じた。そして一もまた彼に近づくように、ベッドを支えになんとか立ち上がり窓のそばに近づいた。すると、澪が口を動かしているのが見えた。

 瞬間、澪の体がいきなり近づき、

「あい...しt........る」

という声が聞こえて、そのまま一はガラスの破砕音に飲み込まれた。


「どうして...どうして澪を...」

 怪物は現れてすぐに澪の体を咥えあげると胸から噛み切り、上部分を勢いよく船に向かって吐きかけた。それを3階のデッキから呆然として見ていた千は直後、ガラスのけたたましいまでの割れる音と船の揺れに襲われた。揺れるデッキで必死に立とうとしていた彼女の目はずっと澪の体に向けられていた。怪物の複眼はすべて千に向いていた。口が開かれ、よだれのようなものと共に澪の下半分が海にぽちゃんと落ちた。背後で大きく息をのむ音がした。

「澪、どうして..........死なせた...の」

怪物が次の標的として千を狙い、スルスルと長い体を伸ばしてきても、千は海に落ちた澪の体を見つめて微塵も動かない。

「どうしてもっと...澪」

怪物が千を飲み込むために、デッキの上で大きく口を開いたときになってようやく千は目を向けた。キッと怪物の複眼を真正面から睨みつけた。





「どうしてもっと早く澪を殺さなかった」

「どうして、澪を一のそばで死なせたの」



「やっと、澪の死に顔が見れると思ったのに!地面よりももっと綺麗なs」










 慌てふためく人々の中、誰かがつぶやいた。

「夢のまた夢、つまらない幕切れ。見ていてあくびが出てくる三文芝居。いや、下手すれば訴えられるんじゃない」

「まあいい、囲われた牧場の子羊たち、もしくは隔離された水槽の魚たちよ。目覚めなさい。そしてまたお会いしましょう、合わせ鏡の向こう側にて」

早いこと、通常の進行をあげていきたいと思います。

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