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終焉



再び訪れた病室には


覚悟を決めて悟ったような表情の母と


無邪気に遊んでいる優希の姿がそこにあった。


ゆっくりと駆け寄り


ベッドに横たわった叔父を見ると


もう既に意識は戻りそうもなく


これが最期だと僕にもわかった。


薬の影響で少し前までは痩せ細っていたが、


今は全身に浮腫が出て


ただの黄色い肉の塊に見えた。


それは胆嚢も腎臓もだめになり


黄疸が全身を埋め尽くしていた為だった。


優希はまだ死を理解出来るはずもなく


「叔父ちゃんなー寝てるねん、、」


と無邪気に話し掛けてきた。


母は僕に視線は合わせずに


「ようやく楽になるんやなぁ、」


と呟いた。


いろいろな意味にもとれたが、


僕はただ頷いただけだった。


次の日叔父はひっそりと亡くなった。


享年63歳


今ならまだまだと若いと思う年だが


もう弱りきった老人のようになった


叔父にとっては漸く迎えられた


終焉かもしれない。


踏み外した階段を再度駆け上がるには


果てしなく高く


酒に逃げて人に当たり自分に当たり


人を傷つけ自分を傷つけ、、、


最期は酒に蝕まれて全身に癌を転移させて


わずか63歳の人生


決して全うしたとは言い難い人生だったが


僕は哀しみより安堵というか


《ようやく解放されたね生きる苦しみから》


と自分にではなく叔父に対して思った。


葬儀は僕と母と優希だけの質素な式で


叔父はただの灰になった。



6月の終わり


少し早く産まれた蝉が夕暮れ時を


遠慮気味に鳴いていた。

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