アルコール依存症
叔父と一緒に生活を始め数ヶ月が経った頃
幼稚園から帰宅するとなんとも形容し難い
臭気に違和感を感じた。
それは居間でいびきをかいて眠る叔父から
漂う酒の匂いだった。
ハンサムだった叔父の顔はまるで浮浪者の如く
目が白く濁り無精髭の生えた恐ろしい顔へと
変貌していた。
呆然とする僕の視線に気づくと叔父は目を
カッと見開き
「何見てんだてめー!ぶち殺すぞ!」と
怒鳴りながら立ち上がった。
僕は初めて感じる恐怖に怯え自分の部屋へ
とにかく走って逃げだした。
背後からは叔父の今まで聞いたこともない
怒鳴り声が
「待てー!ガキこらー!」と
ドンドン迫ってきた。
部屋に駆け込んだ僕をいとも簡単に捕まえると
いきなりタンスに投げつけられた。
恐怖で泣く事さえ忘れていた僕を
叔父は再びタンスに投げつけ
転がった僕を布団でくるみ何度も蹴り上げると
顔を押さえつけ
「お前なんか死んだらええんじゃ!」と
繰り返し叫び首を締めてきた。
次第に意識が無くなり苦しみさえ
感じ無くなってきた時
帰宅してきた母の
「ちょっとあんた! 何してんのや!」と言う
悲鳴のような叫び声で叔父の手が緩み
なんとか意識が戻った。
その時はなんとか助かったが
僕は左肩を脱臼してアキレス腱は
半分切れかけていた。
忘れもしないこれがアルコール依存症に
なってしまった叔父から受けた
容赦ない暴力の始まりだった。