58/62
悪戦苦闘の毎日
もし今からもう一度育児をやり直せるなら
本当にやり直したい
反省ばかりの子育てだった。
思い返せば子供が子供を授かってしまった
感じが否めない。
息子の日々の成長や表情の変化を
楽しみつつも毎日続く長時間勤務の中で
夜泣きにほとほと参り3ヶ月もするうちに
僕は仕事の体力温存のため奥さんとは
別室で眠る機会が次第に多くなっていった。
少しずつ少しずつ奥さんとの心の距離が
離れていくのがわかった。
その空しさを僕は仕事と仲間
奥さんは繁華街へと向けていった。
しばらくしてやっと息子も
つかまり立ちをするようになった頃
僕はとうとうレストランの社員になった。
ほとんど寝る間もないぐらいの長時間勤務で
今までがどれだけ甘やかされて
仕事していたか
井の中の蛙だったのかを
思い知らされる日々だった。
少しずつ業務も任され落ち着いてきた頃
唐突に母から叔父の情報が入った。
長期間過剰に日本酒を摂取し過ぎた為
咽頭癌になり声帯の摘出手術を
行うことになった。
僕は迷った。
叔父のお見舞いに行くべきなのか
そもそも行きたいのか
行く意味があるのか
いろいろ自問自答しながら病室の扉を明けた。




