打ち込める日々
こうして入学した音楽学校は
校長もとても有名な方で講師の方々も
プロとして活躍されてる人ばっかりだった。
楽器のパートに入った人はやはり昔から
ずっとバンドを組んでいて
プロになると決めて入学してきたような
面構えの人達ばかりで
僕の入ったヴォーカル科は単純に歌が好きな
僕みたいな素人の方が割合的に
多かったように思う。
授業はどれも新鮮で愉しく学べること
ばかりだった。
高校からの彼女とは2ヶ月程で自然消滅して
学校がない日は当時アメリカ村の
入り口近くにあったアクセサリー屋で
アルバイトをして
夜になると週末だけ母の店を手伝った。
髪がかなり伸びてきていた為
バンダナを広く巻いて髪の毛を止めていた。
そんな楽しくて充実した日々の中で
新たに歳上の彼女も出来て
本当に楽しく毎日を目まぐるしくこなしてた。
そんな充実した1年間が終わる頃
ロサンゼルスに留学したい人を
募る試験があった。
正直彼女のことは気になったが
どうしても憧れのアメリカに行きたいと
思っていたので僕は迷わず手を挙げた。
その晩に母の店のバイトに入り
閉店になった時
母に留学したいことを相談した。
母はこの学校に入りたいと伝えた時と同じく
「あんたの人生や、好きに選んだらいい
お金はお母ちゃんが用意したるから」
と言ってくれた。
僕は寂しさと申し訳なさと嬉しさで
言葉がしばらくは出てこず
「ありがとうお母さん」
とだけ言って頭を下げた。
母は
「何言うてんの、親子やろ」
と笑顔で言ってくれた。
全てが順調に上手くいく。
そう思っていた。
あの1本の電話を取るまでは。




