嫉妬と解放
彼女は異常な程に僕を独占したがった。
僕が友達と話をするのも怪訝そうな顔をし
もし他の女子と話をしようものなら
「あの女誰なん?!」
とすごい剣幕で怒ってきた。
友達との楽しい週末だけは
なんとか確保したく
平日に仲の良い男友達を紹介する為に
わざと僕の家で会わせても
会釈だけして不機嫌になりすぐ帰って行った。
僕は正直付き合ったことを
早くも後悔していた。
そんな窮屈な生活にも
次第に順応していった頃
ひとつの転機が訪れた。
勤勉に新聞配達を続けていた叔父が
そこの新聞社の正式な社員にならないかと
打診され住み込みで新聞社の寮に入る事が
決定したのだった。
どうやらあの時
母に直接言われた「出ていって!」
と言う言葉がずっと引っ掛かっていた
みたいだった。
僕は小学校の頃のように
悲しみは湧いてこず
ただただ解放感が胸を占領した。
そこで僕は母が言った
叔父の部屋と僕の部屋とを隔てる壁を壊して
ひとつの部屋にすると言われた言葉が
必ず実現するようにと
僕側の壁一面に大きな風景画を描いた。
それはその時まだ写真でしか見たことの無い
ハワイの海岸の絵だった。
果てしない空と澄みわたった海と自由な船
そして太陽に向かって
堂々と伸びているヤシの木の絵だ。
ようやく自由になれる!やっと解放される!
僕はその思いで一気にその絵を描ききった。
そしてとうとう
叔父の引っ越しの日がやってきた。
高校3年に上がったばかり
最初の日曜日だった。




