キャンプとアルバイト
その頃友達の間では
週末に僕の家に泊まりに来ることを
コウノキャンプと言う名前で呼ばれる様になり
いつの間にか人気行事となっていった。
今までそんなに話をしたこと無い
クラスメートも泊まりに来てから
仲良くなるというパターンも増えていった。
母の作る名物ご飯も噂を呼び
中でも一番人気だった焼飯カレーを
食べるために来た友達も居たし
泊まりに来過ぎてうちの家で
ドラクエをレベル99まで上げた強者もいた。
そんな生活の中で彼女に振られた寂しさと
いつも忙しい合間に僕達の御飯を
作ってくれる母になんとなく悪いなという
気持ちになり
母の切り盛りする小料理屋で僕は
アルバイトを始めた。
今から思えば確実に迷惑だったと思うが
主に皿洗いと
お酒やビールを注ぐ係りになった。
だが幼い頃に母と一緒に座敷に出ていた頃は
平気だったお酒を飲んだお客さんと
話をすることが出来なくなっていた。
どんなに頑張っても
お酒を飲む大人と話をすることに
恐怖と嫌悪感があった。
どうしても目を反らしてしまいがちになり
きっとお客さんにとっては
愛想のないクソガキに映っていたと思う。
ただやはり母の息子ということもあり
可愛がってくれる常連さんも居て
少しずつ本当に少しずつだが
会話も出来るようになっていった。
叔父は変わらず夕刊の配達は続けていた。
平日はアルバイトで疲れて寝てしまうし
週末は友人達と楽しく過ごしていたので
隣の部屋に居る叔父の存在は次第に
僕の中で消えていった。
そんな暮らしが続く中
中学の時の友人に告白されて
前の彼女を引きずったまま
好きかどうかも自分では解らないまま
付き合うことになった。
2学期が漸く始まる9月のことだった。




