タバコと記憶
二人のお陰でなんとか正気を保てたまま
中学校を卒業した。
僕は府立の高校に無事合格し不安と期待を
両方背負いながら高校へと進学した。
その頃の叔父はときおり模擬刀を持ち出して
夜中に僕の部屋の扉を切りつけて威嚇したりと
夜中は相変わらずの殺気だった生活だったが
友達が来ている時は
居間の扉を閉めきったきり
全く話をしない生活のまま
僕の時は過ぎていった。
居間に叔父が占拠しているので
家での食事はする事なくコンビニか
母の店が終わった後の残り物で済ませていた。
顔も合わせたくない僕は叔父を避けるように
居間に行く時は朝か夜中だけと決めていた。
酒の酔いが浅い時はしっかり風呂に入り
怒鳴ることも減りすんなりと眠っていた。
家族というよりは他人同士がひとつ屋根の下に
ただ暮らしているそんな感じだった。
高校は割と自由度が高く
僕はずっと中学が坊主頭という校則だった
その反動か髪を伸ばし始めた。
新しく出来た友人達は
派手な感じの子が多く
最初は御互い牽制しあっていたが
次第に打ち解け皆と仲良くなっていった。
中学の時からタバコを吸っているやつも多く
みんな隠れて集まっては
タバコに火をつけていた。
ある時、1人の友人が僕にタバコを勧めてきた。
僕は思わず手が伸びた
みんなともっと仲良くなりたかったし
少し大人ぶってみたい、そう思ったからだ。
だが、ふと幼い頃の記憶が甦った。
近所の子たちと遊んでいた時
カツミと言う子がコウジくんと言う
まだ小さい男の子をいじめて泣かした。
僕はカツミに掴みかかり泣かせてしまった。
その事をカツミの母親は
「やっぱり妾の子は乱暴や将来は不良やわ」
と周りに言い触らしてまわった。
僕の母はカツミの家まで謝りに行っていた。
何故かその事が急に頭の中を駆け巡った。
僕は友達に
「俺タバコは一生吸わんとくわ。
吸わない大人の格好良さを目指すねん」
と冗談まじりに言った。
ようやくクラスになじんだ5月の事だった。




