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ループ
その日を境に叔父の顔つきは急変した
…いや僕の目にそう映っただけかもしれない。
だが明らかに叔父の表情には
攻撃的で刹那的なギラつきが
見え始めつつあった。
毎日のように遊びに来ていた友達も
居間から睨み付ける叔父を気にしてか
次第に僕の家に寄り付かなくなっていった。
そうした日が何日か過ぎた後
いつものように1人で帰宅すると
玄関の扉の閉まる音がまだ消えない間に
叔父の罵声が響いた。
「おい、最近てめーのあほな友達らは
顔見せんなぁ」
僕はせっかくの新しい友達を
失いそうな危機感に思わず叔父に向かって
「お前のせいやろっ!」
と生まれて初めて叔父に怒鳴った。
叔父は
「なんだとてめー!」と立上がりかけた。
僕は
「全部、お前のせいじゃっ」と言いながら
階段を駈け登った。
扉を閉め鍵をかけ
高鳴った鼓動に鎮まるよう言い聞かせた。
ずっと暴力に怯え続けた叔父に対して
初めて歯向かった…。
体格はあまり変わらなくなっていたが
小さい頃からの恐怖感は
全く抜けていなかった。
怒鳴り返した唇がずっと小さく震えていた。




