払いのけた手
噂は次第に全クラスへ拡がっていった。
当時は中学生が付き合う事も珍しかったし
現に1年生で付き合っていたのは、
僕たちだけだった。
小学校生活が楽しくなってから男子と女子で
接する態度が同じだった僕は
そのまま変わらずに普通に女子の友達と
話をしたりしていた。
でもそういう光景を目にした
クラスのナツの友人たちは
「あの子、彼女居てるのに、たらしやなぁ」
などと聞こえるように陰口を叩く様になった。
文句は聞こえてきたが
変わらぬ友達という意識だったので
あまり気にも止めなかったが
やがてナツの友達が
僕の行動を監視するようになっていった。
その子は朝礼の時にちょうど
隣に並ぶ位置だったので
その都度
「あんた昨日は誰々としゃべってたやろ!
今日もすでに誰々としゃべったやろ!」
と大声で文句を言われた。
僕はそれがとても疎ましくなり
もう絶対に女子と喋らないでおこうと決意し
同時にナツを避けるようになっていった。
そんな僕の行動をナツと仲の良くなっていた
僕の友達が責め始めた。
クラスは違ったが廊下などですれ違う度に
「お前、ひどいぞ!可哀想やんけ」
といつも文句を言って来た。
僕にとっては言い触らされている現状や
行動をいちいち監視されるのが嫌
という理由があったので
何を言われても無視していた。
そんな日が何日か続いたある放課後
踊り場でその友達とばったり出くわした。
彼はいきなり僕の胸ぐらをつかんで
こう言った。
「お前なんか最低じゃ!」
僕はその手を払いのけて
思いっきり捻りあげた。
そして思わぬ反撃に
その場で固まる友達を置き去りにし
僕は学校を出た。
付き合った事で失っていった
友達や環境をなんとかしたく
僕は塾でナツから交換日記を受け取った時
冷たく別れを告げた。
あと1週間で新居引っ越しという時だった。




