入学式~好奇の目
激動の小学校生活を終え
僕はとうとう中学生になった。
家の中は驚くほど平和で
叔父も元アル中とは思えないほど
健康的な生活を送っていた。
僕が通う中学は校はいわゆるマンモス校で
僕のいる小学校とナツのいる小学校の
ほとんどの生徒がこの中学校に入学する。
僕は期待より不安の方が勝っていた。
何故ならまた新しい友達に家庭の事を知られて
中傷などされたら…と考えていたからだ。
僕は1組になった。
同じ小学校の仲の良い友達はおらず
顔見知り程度の友人が何人か居る程度の
クラスだった。
ナツは違う組になった。
僕は正直ホッとした。
彼女はとても積極的な子だったので
もし一緒のクラスになって
毎日べったりされたら
反応に困ると思っていたからだ。
僕たちは6年生の終わりぐらいから
当時流行っていた交換日記をしていた。
ナツはとても綺麗な字を書く子だった。
当時、僕は字が下手くそな方だったので
同じノートに日記を書くのが恥ずかしく
ナツの字を真似して必死に字の練習をした。
そのお陰で今は達筆な方だと思う。
早速、1時間目の終わりにナツが書いた
日記を嬉々とした表情で渡しにやって来た。
僕は周りの目を気にしながら受け取ると
なんとか昼休みまでに昨日の事や
新しいクラスの友達の事を書いて
ナツの居るクラスに向かって行った。
何故だかいろいろなとこから視線を感じた。
初めは気のせいかなと思っていたが
彼女のクラスに着いた時
それは確信に変わった。
他のクラスの窓やドアから
僕をじっと見つめる沢山の目
そしてナツのクラスの中から
声が聞こえてきた。
「ほらほら、あの子やで、ナツの彼氏って」
どうやらナツは自分の友達
全てと言っていい程の友達に
彼氏が出来てそれが僕だと
言い触らしていたらしい。
僕は自分の知らない大半の人間が
もうすでに僕の事を知っている環境に
かなりの違和感を感じた。
そしてそれは僕とナツ僕と友達の関係を
微妙にこじらせていく事となる。




