分離
僕はいつのまにかクラスの全員と
仲良くなっていた。
休み時間の遊びも体育のバスケットも
放課後のドッジボールも
みんなと一緒に楽しく過ごしていた。
本当に仲良くなれてみんながこんなに
僕を受け入れてくれたのは
たぶん僕自身に深い負い目が
あったからだと思う。
よくテレビなどで家庭環境が原因で
グレたり引き籠もったりしてる子供をよく見る。
僕はそんな風にはなりたくなかった。
だからどれだけアザを作っても
夜通し叔父の怒鳴り声に怯えていても
学校に行ってみんなには明るく振る舞った。
学校以外の自分を知られるのが怖くて
なんの悩み事もないかのように
騒ぎまくっていた。
でもどことなく遠慮していた。
その絶妙な優しさと元気さが
みんなに受け入れられただけだったと思う。
一歩間違っていたら
いじめられまくっていたかもしれない。
ある放課後の事だ。
ボールを教室に戻して帰宅する時
1人の友達が
「たーぼーってほんまに面白いなぁ
なんでそんなに面白いん?」と聞いてきた。
僕はすぐには答えられなかった。
毎日暴力に怯えているのを
みんなにバレないようにしているからだと…
その事しか頭に思い浮かばなかったからだ。
すると急にその困っている僕を
客観的に観ているもう一人の僕が
隣に居るのに気が付いた。
その僕がこう答えた
「うん、生まれつきやねん
幼稚園ときからやで。
しょうもない事ばっかり言うててん!」
友達は
「やっぱりなぁ1年生ん時から一緒やったら
もっと面白かったやろなぁ」と
肩をポンと叩いた。
僕はその時初めて認識した。
家で居る時の自分と
学校に居る時の自分が
全くの別の人格になっていることを。




