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突き刺さった包丁



僕は小学校5年生になった。


パチンコ屋の住み込みから帰って来た叔父は


荒れに荒れていた。


風呂には一切入らず着替えもせず


ひげも剃らず


1日中、台所にどかっと座ったまま


一升瓶ごと酒を浴びるように呑んでいた。


母も僕も台所には一切近付く事が出来ず


全て外食や母の店で食事を済ませる様に


なっていった。


そんな腫れ物を触るような態度が


余計に苛ついていたのか


常に一人で怒鳴り声を上げ


テーブルや壁を何度も叩いていた。


そんな日が1週間ぐらい続いた頃だろうか


伯母が何の気なしに台所に入ると


「あのよーご飯食べていかんやろか?」と


叔父に言った。


叔父はやっと自分の視界に


入り込んできた獲物を


待っていたかのように大声で怒鳴り始めた。


「てめー!誰に断ってここ入って来とるんだ!


ぶち殺すぞ!」


そう言うと立上がり


台所から包丁を取り出した。


伯母は青ざめ慌てて逃げ出した。


そしてなんとか自分の部屋に逃げ込もうと


襖を開けようとした瞬間…


叔父は持っていた包丁を伯母に目掛けて


投げつけた。



その包丁は伯母の顔をかすめ


襖へと突き刺さった。


へなへなと崩れ落ちた伯母を見ながら叔父は


「ちっ 外れたか…」と言うと


また台所へと戻って酒を飲みだした。


少しだけ大人になり


叔父と伯母が居なくなればと願っていた僕は


もしあの包丁が伯母に刺さっていたら


…二人とも…なんて考えていた。


もしかしたら叔父も


同じ事を考えていたのかもしれない。

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