第3日曜日
その1日は小学生の頃の僕にとって
毎月とても意味のある特別な日だった。
その日になると父が家にやって来て
僕と母を晩ご飯に連れて行ってくれた。
父は母のひとつ年下で
とある建設会社の重役だった。
父が母と知り合ったきっかけは
たまたま母が継いだ座敷の隣のビルを
設計しに来たのが二人の出会いだった。
父と母はいつもとても仲が良かった。
滅多に会えないぶんお互いがお互いを
労りあっているように見えた。
普段、家では絶対に口に出来ないビールを
この日だけ母は決まって一杯だけ飲んだ。
ラーメン屋さんやお寿司屋さん
いろんなとこに連れていってくれたが
僕の一番のお気に入りは難波の近くにある
有名なレストランだった。
雰囲気も良く活気があって
ハンバーグとカレー特に美味しくて大好きで
毎月この日を楽しみにしていた。
父はタバコを吸わず水をよく飲み
食べ物をあまりよく噛まない。
よく考えれば今の僕と似ている。
父に負けじと早くご飯を食べていた記憶
「いっぱい好きなん食べて大きなれよ」
父がいつもよく僕に言ってくれた言葉だ。
僕は元気に
「うん!」と頷いた。
レストランを出ると
少し遠回りしたドライブを兼ねての帰宅だ。
父は家に着くと僕がパジャマに着替えて
布団に入るまで一緒に居てくれた。
でもその分
夜中にふと目覚めた時の寂しさは大きかった。
僕はある時父にこうお願いした。
「僕ちゃんとひとりで寝れるから
お父さんにバイバイさせて」
父もなんとなく察してくれたみたいで
「うんそやな、じゃお父さんも
行ってくるよって、たかよしに言うわ」と
言ってくれた。
第3日曜日
僕はその日だけ少し夜更かしする。
走り去る父の車を見送るために。




