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誕生日の電話



学校もようやく少し落ち着き


叔父もまともな時期で


珍しく平凡な生活のリズムに


なりかけていた朝そのベルは突然鳴った。


9月14日、僕の誕生日の朝だった。


僕は朝の用意をしてそろそろ学校に


出掛けるところだった。


何回も鳴り続ける電話に何故か


母は一切反応しなかった。


不思議に思った僕はその受話器へと


自然に手をやった。


その瞬間


「出たらあかん!」


そう母は語気を強め言い放った。



「なんで?」


聞き返しながら、もしもしと受話器を取った。


するととても低い女の人の声で


「…魔の誕生日……」


それだけ言うとぷつっととその電話は切られた。


僕は一瞬で背筋に寒気が走った。


「そやから、出るな言うたんや…」


母は申し訳なさそうに呟いた。


そして意を決したように全て話してくれた。


父には元々別の家庭があり


奥さんと三人の娘が居る事


あの電話の主はその奥さんである事


そして僕が生まれた翌年から


必ず誕生日の朝になると


その電話が掛かって来ていた事


僕の中でずっと抱えてきた疑問


何故、友達のお父さんみたいに


家に居て僕たちを守ってくれないのだろう


と漠然と抱いていた事が


そこで全てつながった。


そして申し訳なさそうにしてる母に


僕はこう言った


「来年から僕が電話出るよ」


何故だか分からないがそう言った。


たぶん母をこれ以上


悲しませたくなかったからだろう。


僕はいつもよりも元気な声で


「行ってきまーすっ」


と元気よく告げると家を飛び出した。


そして一人の通学路


いろんな事を考えた。


ろくに寝ず働き詰め母の姿


酒を飲んで暴力ばかりの叔父


変わった事ばかりする伯母


僕は本当は生まれてこない方が


良かったんじゃないだろうか


そしたら母は今みたいに働かなくて済むし


叔父も手をあげる相手が居なくって


お酒を飲まないかったかもとか


そんな事を考えながら


いつもより長く感じた通学路を


それでも力強く歩いた。


ちょうど8歳になったばかりだった。

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