振り返った勇気
そろそろいつも話し好きの校長のお話が
終わろうとしていた。
チャイムが鳴り教室へと戻るための
音楽が響き始めた。
案の定すぐ後ろの伊藤は大げさに足を
振り上げると僕をいきおいよく蹴ってきた。
覚悟を決めてもなかなか行動には
出来ないものだ。
僕は恐る恐る行進する手を大げさに振り
伊藤めがけてそのままチョップした。
一瞬たじろいだ感じがしたが
今度はより一層強く僕を蹴り始めた。
もうすぐ校舎に差し掛かる頃
僕は覚悟を決めて振り返った。
そして伊藤めがけて思いっきり蹴り返した。
廊下に倒れた伊藤に必死になって飛びかかった。
制服をドロドロにしながら
僕は生まれて初めての喧嘩をした。
慌ててやって来た担任に止められて
僕たちは職員室に連れていかれた。
そしてこっぴどく怒られた後
教室の一番後ろで二人とも正座させられた。
伊藤が僕にこっそりと言った
「お前のキック効いたぞ!」
僕は何て返して良いかわからず
「僕もう蹴られ慣れたし…」 と返した。
伊藤は少し複雑な表情で笑いながら
「今度一緒に家で遊ぼうや」と言った。
その日から僕と伊藤は大親友になった。
よく喧嘩もしたが仲が良かった。
元々いじめっ子だった彼が僕の言う事にだけ
耳を傾け言うことを聞いてくれた。
彼が転校生をいじめようとした時
僕が止めに入ったりした。
それで転校生そっちのけで
殴り合いになった事もあった。
やがてクラスのみんなも
僕を少しずつ受け入れてくれるようになり
僕の学校での生活は一変した。
ターボーと言うあだ名もついた。
みんなと仲良くなり
学校へ行く時間が待ち遠しかった。
でもその分家に帰る事が
日増しにイヤになっていった。
どう足掻いても自分では変えられない
大人の力と事情に




