空を見上げて
学校でのいじめは確かに辛かったが
叔父から振るわれる大人の暴力と比べると
まだ我慢が出来た。家に居るより遥かにマシ
に感じた。
ただその中で朝礼はとても憂鬱だった。
列のすぐ後ろの伊藤が毎回
帰りの行進に合わせて僕のお尻を
何度も蹴ってくるからだ。
最初に叩いてきた男の子は
飽き性なのかそんなに頻繁では無かったが
伊藤だけは飽きもせず必ず毎日
僕にちょっかいを出してきた。
その日は木曜日の朝礼
うつむき加減で僕はいつもの通学路を
トボトボと歩いていた。
そんな後ろ姿がよっぽど情けなく
見えたのだろう。
見ず知らずの自転車に乗った中学生二人組が
僕を追い越しざまに節をつけながら
こんな台詞を言った
「男じゃないぜ、そんな歩き方は~♪」
そして僕の方を向いてピースサインをした。
その言葉は僕の胸に深く突き刺さった。
知らず知らずのうちに周りのつらい環境に
自分自身を合わせてしまっている事に
その瞬間気が付いた。
僕は立ち止まった。
そして空を見上げた。
きれいな秋晴れ
いつも下しか見ていなかったから
全く気づかなかった澄んだ美しい空。
僕は深呼吸をして胸を張って歩きだした。
僕は今でもどんな時でも胸を張って歩く。
この朝の出来事がいつまでも
深く心にイメージに残っているからだ。
この時から僕は何があっても何をされていても
自分の気持ちだけは心の中だけは
必ず前を向いて胸を張って
歩いて行こうと決めた。
そして僕は胸にある決意を秘めて
学校へと駆け出した。
やがて朝礼の時間がやってきた…。




