表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

3

書馬「フフフフ、フハハ! 読者が物語の進展を欲しがった……ここが物語の出発点にふさわしい……見せてやるぞ、イウキ! オレの本気をな!」


読武藤「何をする気だ、書馬ぁ!」


書馬「ここから一気に情報を放出する。俺のスピードについて来れるかな、凡骨ども!」


読武藤「まて、書馬、あまり高速でいくつもの情報カードを出すと、読者はついてこられない!」


書馬「フ~ン、心配はいらん、私にはフィールドの広さが見えているからな、召喚できる情報カードの数には上限がある、ならば精査し、不要なカードは斬り捨て、的確かつ最短距離で目的につながる情報カード運びをするのみ!」


読武藤「来るっ!」


書馬「まずは『主人公の休日』! のんびりと街中を散策する主人公を描写! 続いて『モブヒロインとの絡み』により、酒場のかわいいお姉ちゃんから誘惑される、さらには『街中でケンカに巻き込まれる』により主人公の強さを一般人と対比描写!」


読武藤「バラバラだ……まったくバラバラな情報カードが並んでいるだけじゃないか!」


書馬「焦るなイウキ、これらの情報カードを後々つなげるために、俺は『小さな違和感』を場に出しておく。例えば街中を歩いているとき、例えばセクシー美女に迫られたとき、例えばケンカの時、読者に『こいつ、なんだか普通の人と違うぞ』と思わせる小さな描写を入れておくのだ!」


読武藤「なるほど、つまりすべてのシーンを違和感を持たせるという同一の目的で並べる、これにより時系列通りに物語を続けても目的は一つだから物語がぶれなくなる!」


書馬「こういうタイミングでむやみに無意味なシーンを挿入して伏線(伏せカード)だと粋がる輩がおるが、フ~ン、オレに言わせれば愚の骨頂、なぜなら伏線(伏せカード)はその効果が明らかにならないというだけであって、カードが伏せられていることは読者から丸見えなのだからな。もっとも……オレほどの作者デュエリストともなると、読者に気づかれないうちに伏線(伏せカード)を置くなど、お手の物だがな」


読武藤「ああっ、いつの間にかフィールドに伏せカードが!」


書馬「この情報カードのオープンは後程……まずは『小さな違和感』の情報カードに対し『その理由』を付与、これらすべてを融合して『主人公の過去を知る幼馴染』をサブヒロインとして召喚する!」


読武藤「このタイミングでサブヒロインの登場だと!?」


書馬「出でよ、『貧乳ヤンデレ魔導士フラットマジジャンガール』! 読者に最大出力でダイレクトアタックだ!」


読武藤「うわぁぁぁぁああああああ! くそっ、ヒロインの登場により、『小さな違和感』の理由が、『いずれ明かされる謎』としてフィールドに固定されやがった……期待大だぜ!」


書馬「小節終わり(ターンエンド)だ!」


読武藤「ならばこちらからはこれだ! 速攻魔法『君の名は』! これにより作者は読者にサブヒロインの素性を明かさねばならなくなる!」


書馬「それに抗する策はすでに、我がデッキの中に組み込まれているわ! デッキから『後でのお楽しみ♡』を特殊召喚、このダメージを無効にする!」


読武藤「ならば『サブヒロインはかわいくなくっちゃね』! 作者は読者の期待に応えて、サブヒロインをかわいらしく描写しなくてはならない!」


書馬「無駄だ! デッキから『外見より中身で勝負☆』を特殊召喚、この効果により折に触れてサブヒロインの魅力が小出しにされる! 貴様らがこの少女をかわいらしいと思い始めるのは物語の中盤を過ぎてからだ!」


読武藤「デッキからの召喚ばかりじゃないか、ズルいぞ、書馬!」


書馬「フハハハハ! 主催者権限(作者特権)だ! このように読者が期待する事項などデッキに組み込んでおけばすぐに直接描写(召喚)する必要はなし! もっと効果的なタイミングで、最も効果的な形で情報カードを切れば良い!」


読武藤「つまり、サブヒロインのかわいらしさを楽しむには先を読むしかない、主人公の人生を知るにも先を読むしかないと、そういうことか……おまけにフィールドに伏せられたカード(伏線)、それもオープンになるタイミングを待たなくては、中身が明らかにならない!」


書馬「これが長編(スタミナデッキ)の力だ! 昔、こんな言葉を残した偉人がいてな、戦いとは二手三手先を読んでするものだと……つまりは今現在の状況のみを構築するのではなく、長丁場を戦い抜くために情報カードが配置されたものをプロット(デッキ)というのだ!」


読武藤「くっそぅ……書馬、俺の負けだ。『続きを書け(サレンダー)』するぜ!」


書馬「それでいい、イウキ……ならばオレは、この物語を思うままに書きつつけよう……永遠にオレのターンだ! 見たか凡骨ども! 読者に次を期待させるべくプロット(デッキ)を構築し、最も効果的なタイミングで最も効果的な手札を切り、最強のコンボ攻撃を完成させる、これが執筆デュエルだ! そのためには自分が抱えるお素敵アイディア(手札)の真価を見極めろ! そして不要ならばクズカとして斬り捨て、必要ならば新たな情報カードを錬成しろ! それこそが小説デュエルだっ!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ