悪の華になる筈だった彼女を綴る

母の部（完）

私の産んだ悪の華～娘幕

　娘は確かに悪役と同じ名前、同じ顔をしていますわ。しかし、その性格といいますか、性質でしょうか・・・そういった物が違いました。だから、気付いたのです。娘を歪めてしまったのは親である私達だったのだと。私達は愛情を注いで娘を育てました。そして、娘は美しく咲き誇りましたわ。ヒロインである庶民の少女に打ち勝ったのです。あぁ、ヒロインは乙女ゲームを興じる本人の分身のような物ですわ。娘はヒロインの入る隙間が無い程に殿下に愛されております。とても、光栄な事ですわ。